コロナ「人から猫感染」防ぐ3つの具体的方法 ペットのために飼い主は何をすればいい?

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一方、アメリカ疾病対策予防センターでは、4月22日に公表したニューヨークの猫2匹の陽性反応の見解として「ペットがアメリカでウイルスを拡散させる役割を果たすという証拠はありません。したがってコンパニオンアニマルの福祉を損なう可能性のある対策を講じる正当な理由はありません。ペットを含む様々な動物が影響を受けるかどうか、またどのように影響を受ける可能性があるかを理解するには、さらなる研究が必要です」としています。

感染は世界中でごく少数の動物での報告であること、主に感染したヒトと密接に接触した動物での報告であるため、現時点ではこのように考えているようです。そのうえで、詳細がわかるまでの予防措置として、ペットが家外のヒトや他の動物と接触することを避けるようにと伝えています。

また、動物と肺炎(COVID-19)についてのよくある質問も公表しています。万が一に備えて、感染防御の対策を呼びかけているということでしょう。

しかしながら、2020年5月25日、オランダ南部のミンク養殖場で従業員2人目となる感染の確認が公表されました。「ミンクからヒトへ感染したとみられるが、感染拡大のリスクは最小限」としています。現在調査中であり不明瞭ですが、動物からヒトへの感染の可能性も否めないのです。

飼い主はどうしたらいいのか

日本でも海外からの感染報告を受けて、公益社団法人日本獣医師会が2020年5月1日に「愛玩動物と新型コロナウイルス感染症について」を公式ホームページで公表しています。

そこでは、万が一に備え、飼い主がしっかりと感染防御の対策をとることを推奨しています。現時点では、前述のように猫と新型コロナウイルスの関係性に不透明な点が多く、通常の環境下で容易に感染するのか、感染が拡大するのか、ヒトが再感染するのかは判断ができません。そのため、飼い主は日々の更新情報を注視しながら、冷静な対応をしていくしかありません。万が一の愛猫への感染を避けるために、飼い主が今できることはどんなことでしょうか。

1.帰宅してすぐに手洗いとうがいをする

愛猫が完全室内飼育であれば、新型コロナウイルスを持ち込む可能性があるのは飼い主ということになります。外出すれば飛沫感染や接触感染の可能性があり、愛猫への感染を防ぐにはまずは飼い主自身が感染しないことです。愛猫を触る前に行いましょう。

2.完全室内飼育を徹底する

愛猫が外に出れば飼い主以外のヒトと接触する可能性があります。飼い猫は基本的に人懐っこいので、ヒトを見ればすり寄っていくことでしょう。そうなれば感染のリスクが高まります。他の猫とも接触する可能性もあるので、完全室内飼育を心がけましょう。

3.濃厚接触を避ける

飼い主の目・鼻・口などを愛猫が舐めたりしないように濃厚接触を避けるようにしましょう。愛猫の体を清潔に保ち、飼育環境の衛生状態も清潔に保つようにしましょう。

また、愛猫が感染することを防ぐためにも預け先を決めておくことが大切です。万が一、飼い主が感染した場合にも慌てることなく愛猫を預けられるよう、家族や友人、知人、動物病院などに相談しておきましょう。

どうしても見つからない場合は、アニコムホールディングス株式会社がコロナ感染者のペットを無償で預かる「#StayAnicom」プロジェクトを始動していますので確認してみましょう。

現在、新規感染者数の減少と共に、緊急事態宣言も解除されましたが、新型コロナウイルスの感染自体は長期化することが予想されています。

WHO(世界保健機関)も同様の見解を公表しています。コロナ禍が終息したわけではありません。ここで、油断することなく、飼い主自身と万が一の愛猫への感染を防ぐために、冷静に正しい判断をしながら過ごしていくことが大切になるでしょう。

阪根 美果 ペットジャーナリスト

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さかね みか / Mika Sakane

世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者・Pet Saver(ペットの救急隊員)。ペットシッターや保護活動にも長く携わっている。ペット専門サイト「ペトハピ」でペットの「終活」をいち早く紹介。豪華客船「飛鳥」や「ぱしふぃっくびいなす」の乗組員を務めた経験を生かし、大型客船の魅力を紹介する「クルーズライター」としての顔も持つ。

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