「スカイライン」に乗って感じた自動運転の進化 求められる人と車の「頼り、頼られる間柄」

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筆者は、このProPILOT2.0を搭載したスカイラインに1200㎞ほど試乗、システムから提供される運転支援とはどんなものなのかを体験しました。

前評判どおり、細かな道路地図データが収録された3D高精度地図データと、2013年にスカイラインが世界で初めて量産車として採用した電子制御ステアリング機構であるダイレクトアダプティブステアリング、さらには車載の合計24個のセンサーが共演する運転支援技術は非常に緻密でした。取材に応じてくれた日産の技術者によるとその精度は「前後方向で1m、左右方向で5㎝」とのことです。

一方で、ProPILOT2.0から新しい車との付き合い方が提案されたような新たな発見もありました。精度の高い運転支援技術を受けるドライバーには、これまで意識することが少なかったシステムとの間合いをはかる作業が求められます。

言い換えれば、どこでシステムがブレーキやアクセル操作に介入し、ステアリングのアシストはどこで切れ、警報ブザーやディスプレイ表示はなにをドライバーに要求しているのか、といった頻繁に行われる車との情報交換に気を配る必要があるのです。

求められる「人と機械の協調運転」

これまで安全な運転環境は人(ドライバー)がその全責任を負うとされてきました。自動化レベル2の技術は運転支援ですので、人が全責任を負うことに変わりはありません。しかし、時に機械(システム)が人のうっかりミスをサポートしたり、早期に危険を知らせてくれたりしてくれることで、身体的疲労度が軽減され、より安全な運転環境に近づいて行くことも事実です。同様に、その機械には物理的な限界点(例/センサーの認識範囲外で発生する危険を避ける)が存在します。

だからこそ筆者は、ステアリングから手が放せる自律走行状態であってもつねに手を添えます。システムによる制御が限界点を超えた際、なるべく早く自身で回避動作をとるためです。ACCにしてもそうです。筆者は2003年からACC装着車に乗り続けていますが、ペダル操作から開放されたフットフリー状態であっても、アクセルとブレーキの両ペダル操作がすぐ行える位置に右足を構え続けます。

ProPILOT2.0を信頼していないからではありません。「得意分野とできること」、「不得意分野とできないこと」を把握しているからこそ、ProPILOT2.0との運転操作を大切にしています。言い換えればこれは「人と機械の協調運転」です。こうした“頼り、頼られる間柄”は、より高度な自動運転社会を迎えるにあたり、人と車(機械)の新しい関係を構築するうえで非常に重要であると考えています。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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