台湾が世界有数のマスク生産大国となった理由

日本に200万枚寄贈はなぜ可能になったのか

2月6日の午後には、TMBAの厳名誉理事長、許理事長、常務理事の戴雲錦・台湾瀧澤科技・社長の3人がマスク製造機メーカー2社を視察。そこで、現場で大きな課題があることがわかった。それは2社の生産規模から来る課題だ。

例えば、長宏の従業員は約10人。平時であれば、1カ月に製造可能なマスク製造機の数はせいぜい2台にすぎない。このままでは、政府が必要としている60台の納品ははるか先のことになる。

2月7日午前10時、沈経済部長はTMBA、権和と長宏の3者を招集し会議を開き、「いかに速く60台のマスク製造機を完成させるか」について議論した。権和と長宏が提示した現場の問題点は原材料の不足と技術者の不足だった。

ゼロからのマスク製造工場立ち上げ

技術者不足について、許TMBA理事長は「心配ない。われわれに任せてほしい」と明言した。2月10日、まず瀧澤科技ら5社が率先して行動を起こし、さらに27社が次々とマスク製造機の製造現場に入った。企業は、現場へ自社の精鋭を送ったという。

だが現場に解決すべき問題はまだあった。権和と長宏の2社は台湾唯一のマスク製造機メーカーであるものの規模が小さいため、作業マニュアルが存在しなかったのだ。そのため第1週目は、まるで泥沼の中を進むようだった。少しでも早く目標を達成するため、現場ではまず作業方法や必要な部品の分析、派遣されてきた技術者の適切な配置などが検討され、徹底した標準作業手順書が作成された。

このマスク製造機組み立ての指揮官役は、台湾瀧澤科技の平鎮工場長である徐浩東氏だ。「マスク製造機に触れたのは初めてで、すべてゼロから始めた。助けもなく、難しい仕事だった」。ゼロから始めたというのは誇張ではない。マスク国家チームの最初の仕事は、300坪の何もない空間での配電だった。マスク製造機工場の立ち上げのためにケーブルを切り、ネジ穴をあけるところから始まったのだ。

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