コロナ失業「女性が深刻」アメリカの切実な事情 低賃金のサービス業系で多く貯蓄も乏しい

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各州がソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)の規制を緩和し、事業活動が再開されるにつれて、今後数カ月間で職を取り戻す人も出てくるだろう。だが多くの企業は、スタッフの数を抑えつつ段階的に事業を再開する見込みであり、雇用の不確実性は残る。

「仕事が見つからなければ、彼女たちは労働人口から離脱してしまうかもしれない」とテュゼマン氏は言う。

新たな道が開けた労働者が脅かされている

パウエル連邦準備理事会(FRB)議長は4月の連邦公開市場委員会(FOMC)後、11年に及ぶ経済成長により、かつてはなかなかはい上がれない不利な立場にある労働者にも新たな道が開けた、と語った。「いま、そうした人たちが皆、脅かされているのを見るのは、率直に言って、ひどく辛い」と同議長は言葉を続けた。

ティナ・ワトソンさんは、5年を超える失業を経て、昨年秋、サウスカロライナ州ホリーヒルのマクドナルドで調理師としての職を見つけた。2月、彼女はウェンディーズに転職した。マクドナルドでは週3~4日勤務だったのが、こちらではフルタイム、時給も7.25ドルから8ドルにアップした。

シングルマザーのワトソンさんは、しばらくのあいだ、月々の支払いにも苦労せず、自分自身と11歳の息子のためにわずかばかりの貯金もできた。だが、そうした安定は短期間で終った。

3月末、ウェンディーズはソーシャル・ディスタンシング規制を守るために店内での飲食を中止し、ワトソンさんの勤務スケジュールは週2日に減らされた。収入減少により請求書の支払いも滞り、学校が休校になったせいで、息子のための安心できる学童施設もなかなか見つからない。

「これまでも常に苦労してきたが、ますます悪くなっていくように感じている」とワトソンさんは言う。かつては金銭的に援助してくれた母親も、昨年亡くなってしまった。「私のわずかな給料では何の足しにもならない」

(Jonnelle Marte、翻訳:エァクレーレン)

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