コロナ失業「女性が深刻」アメリカの切実な事情 低賃金のサービス業系で多く貯蓄も乏しい
女性政策研究所のC・ニコル・メイソン所長は、「こうしたセクターで雇用されている女性たちはただでさえ綱渡りの状態にあり、多くはシングルマザーか、家計における主要な稼ぎ手になっている」と語る。
スウェインさんによれば、彼女に「シャナ・バナナ」というあだ名を付けた常連客の多くは、店が休業した後も携帯電話にメッセージをくれるという。彼女はスーパーに行って食材をまとめ買いし、日持ちするよう野菜を湯がいて冷凍する。
「備えあれば憂いなしということがようやく分かった」と彼女は言う。
前進が帳消しに
エコノミストらによれば、近年、労働人口への女性の参入が増大し、主力となる25~54歳の労働参加率の上昇をけん引してきたが、今回の危機によって、そうした前進が帳消しになってしまう恐れがあるという。
昨年12月、2010年以来初めて、一時的にではあるが労働人口の過半数を女性が占めることになり、労働市場の需給タイト化と記録的な景気拡大の賜物として歓迎された。国勢調査によれば、女性が主たる稼ぎ手である家計(大半はシングルマザー)の貧困率は、2018年に史上最低の26.8%まで低下した。
メイソン氏は、「だが今、女性が急速に職を失いつつあるという、明確で劇的な変化が生じている」と言う。
4月、25~54歳の女性における労働参加率は73.6%に低下し、男性の労働参加率に比べ、大きな落ち込みを示した。ジェンダー間の参加率格差は、2月に最小を更新した後、再び拡大した。
カンザスシティ地区連銀の上級エコノミスト、ディデム・テュゼマン氏によれば、3月中の雇用減少によって特に大きな影響を受けたグループは大卒以上の学歴を持たない女性であり、パンデミックによる喪失分を取り戻すにも困難が伴う可能性があるという。同氏は2008~09年の金融危機による影響を受けた労働者についても研究している。
テュゼマン氏の研究結果によれば、前回の景気後退の際には、大卒以上の学歴を持たない女性では労働参加率の落ち込みが激しかったという。