年金財政にとってインフレが好都合な理由 コロナ後の物価動向には注意が必要になる

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新型コロナウイルスの感染収束後、インフレやデフレになると、年金財政にどのような影響を与えるのだろうか(撮影:今井康一)

緊急事態宣言に伴う休業や外出自粛の効果もあってか、新型コロナウイルスの新規感染者数が減少し始めている。

感染拡大「第2波」への警戒感はあるものの、新型コロナウイルスの感染拡大によって、仕事が減ったりして収入が減った就業者が多数出ている。では、年金生活者には現在、どんな影響が出ているのだろうか。

インフレ下で公的年金はどうなる

公的年金は、新型コロナウイルスにかかわらず、制度にのっとって自動的に給付されており、金額が目減りすることもない。加えて、就労者にも年金受給者にも、1人当たり一律10万円の特別定額給付金が支給される。

そういう意味で、世界的なパンデミックがあっても、公的年金は今のところ微動だにしていないが、今後も盤石で安泰かというと必ずしもそうではない。当然ながら「国破れて年金在り」、つまり経済がガタガタになっても年金だけは生き残ることはない。

今後インフレになるか、それともデフレが継続するかによって年金の状態は変わってくる。現状、デフレが継続するとの見方が多いとはいえ、「コロナ後の過剰流動性がもたらすインフレ圧力」で記したように、今回は通常の景気後退期とは異なり、デフレの継続は自明ではない。

企業の資金繰り支援などのため流動性の追加供給がある中、国際的なサプライチェーン寸断による供給制約がコロナ後も続くと、インフレ圧力が生じうる。仮にコロナ後に経済がインフレ(といってもハイパーインフレではない)に転じた場合、公的年金はどうなるのだろうか。

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