安倍政権は「出口戦略」を示すべきだ アベノミクス新年度の課題(1)大畠章宏

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──民主党は「30年代に原発の稼働をゼロとする」という方針を掲げている。原発を重要なベース電源とする現政権のエネルギー政策をどう見ているのか。

われわれは福島第一原子力発電所の事故を踏まえて、30年代に原発ゼロを目指すという方針を掲げた。

再生可能エネルギーを最大限生かしていこうということだ。何も太陽光や風力だけではない。たとえばバイオマスの火力発電なども有望だ。日本には利用されていない森林資源が多く、これを使わない手はない。

技術的に超えるべき課題はあるが、目標を明確にすれば突破できる。長期的な目標をしっかり作ることが必要だ。

政治とカネには毅然と

──野党からはさまざまな問題が出てくる。最近では、みんなの党の渡辺喜美代表が「政治とカネ」の問題に直面している。これには、どう対応していくのか。

自民党であっても、民主党であっても、どこでも、政治とカネの問題については厳しく対応していく。これが大事だと思う。

みんなの党の浅尾(慶一郎)幹事長とは、これまで一緒にいろいろな話をしながらやってきた。非常に残念だが、政治とカネは、1990年からの課題であり、不透明な説明を許すわけにはいかない。

──現在、第一野党である民主党の支持率は1ケタ台にまで低下している。これは、なぜだと思うか。

振り返ると、09年、準備不足の中で自民党側の自滅によって政権を取ってしまった、というのが不幸だった。直後から鳩山由紀夫首相は母親からの資金提供で、実力者の小沢一郎氏は4億円の土地購入問題でつまずいた。さらに菅直人首相の消費増税発言、そして野田佳彦首相が消費増税の実現を推し進めたことで、党内は分裂に至った。

こうした推移を見れば、国民がわれわれに対して厳しい目を向けるのは当然だ。批判をしっかりと受け止めたうえで、民主党の政策をアピールしていきたい。

一強多弱という政治状況がいつまでも続くわけはない。今は、これまで以上に強い野党が求められている。日本をどこに導いていくのか、という点で安倍政権の姿勢を危うく感じる人が増えているのは間違いない。かといって、数合わせのために野党がくっついても意味がない。政治的な理念と政策で合意するのが前提だ。

(撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2014年4月12日号<7日発売>核心リポートより)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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