安倍政権は「出口戦略」を示すべきだ アベノミクス新年度の課題(1)大畠章宏
──過去最大の予算規模となる96兆円の新年度予算が3月20日に成立した。2014年度は、これまで安倍晋三政権が進めてきた景気対策の効果が持続するかを占う年になる。野党第一党として、安倍政権の課題、問題点をどうとらえているのか。
確かに日本は長い間、デフレが続き、経済が低迷していたのは事実。しかし、日本だけが低迷していたわけではない。08年の金融危機後、先進国経済は互いに連鎖しながら低迷していた。世界経済が浮揚する循環へと転じる中で、日本も上向いた。それが今の状態だと思っている。
民主党政権時代にも、いろいろと景気浮揚策を進めた。特に、農林水産業、医療、先端科学といった分野に重点的に予算を配分し、多くの成果を上げたとの自負がある。とはいえ、世界経済が減速した影響は大きく、民主党政権のときにはっきりと経済を上向かせることができなかった。
昨年からGDP、雇用、賃金などさまざまな経済指標が徐々に上がり始めたが、これは民主党政権下で手を打ってきた成果だと考えている。
春に畑を耕して種をまき、夏に水やりをして、いよいよ収穫の時期に政権交代になってしまったと。こうしたことを言うと、「まだ負け惜しみを言っている」とおしかりをいただくことになるだろうが、それが事実だろう。
──民主党政権とは異なる安倍政権の経済運営の特徴は、日本銀行による大胆な金融政策にある。
日銀券を刷り、市中銀行から大量の国債を買い取っている。この劇薬で人工的に円安と株高が作られていったが、われわれはこうした政策に危うさを感じている。
岡田(克也)さんが予算委員会でも指摘しているように、大胆な金融政策をやっていくのであれば、同時に出口戦略を示すことが重要だ。
昨年1年間でおおよそ50兆円の国債を日銀が買った。それまで70兆円の国債を持っているところに1年間で50兆円買ったため120兆円になった。今年度も50兆円買うと170兆円ぐらいになる。では、来年はどうするのか。そして再来年どうするのか。こう質問をしても、安倍さんからは「民主党さんのときにはもっとひどかったでしょう」という答えが返ってくる。まともな回答が出てこない。これでは国民も心配になるだろう。
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