安倍政権は「出口戦略」を示すべきだ アベノミクス新年度の課題(1)大畠章宏

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──与党時代の話を持ち出されると、民主党は弱い。

民主党政権下でもインフレターゲットについては研究した。党内にはさまざまな議論があった。

しかし、中央銀行のミッションは「物価の安定」であって、劇薬の扱い方は難しい。下手をするとハイパーインフレになりかねないと考え、私たちは大量の国債を買い入れるという手法に踏み込まなかった。強制的な手法ではなく、地域から、底からじっくり温めるやり方で、デフレ脱却を目指した。

安倍さんは、そんな手ぬるいことじゃ駄目だということで、強制的に市場へ薬を投与した。これをお風呂に例えると、上のほうだけが熱くなって下は冷たいまま。いずれ循環して下のほうも温かくなるという考え方もあるが、そうではない。下のほうは今、温度が下がっている。格差が広がっており、それが問題だ。

格差に目配りをする

──民主党は安倍政権にどう対峙していくのか。

第一に、前述のように出口論をしっかり考えるよう求めていく。自分が首相の間だけよければいい、というような考え方はやめてもらいたい。日本は未来永劫続くのだから、長期にわたって責任ある経済政策、金融政策を考えるべきだ。

第二に、格差の広がりを注視していきたい。その一つが親の所得と子供の成績の間には密接な因果関係があるという点。経済的に豊かな家の子供の成績はいいが、親の所得が少ないところの子供は低いという、いわゆる貧困の連鎖が始まっている。

格差社会がかなり顕著に現れ始めており、これには国として対策を打つべきだ。ヨーロッパ社会を手本に、やはり社会格差は是正していかなければならない。

企業でも同じことだ。円安や株高で儲かるようになったのはごく一部の会社だけ。多くの会社には恩恵がない。逆に円安になって苦しんでいる企業は多い。中央と地方の格差、大企業と中小企業の格差といったところには、きちんと目配りをしていきたい。そここそが民主党に求められていることだとも思う。

──社会保障の充実を求める声は、自民党の中からも出てきている。自民党と民主党の違いがわかりにくい。

今はむしろ違いは鮮明になってきたのではないか。

安倍政権は、金融緩和、規制緩和という劇薬で自由競争を拡大させ、格差社会を作ろうとしている。主役は企業や業界団体。選挙のときに応援してくれるところに、ためになるようなことを考える政党だ。国土強靭化を口実に、「人からコンクリート」に路線を戻し、公共事業に大盤振る舞いをしている。

私たちの場合、主役は働く人や生活者。昨年2月に改訂した党綱領でも、それを再確認した。格差をできるだけ縮小する方向に持っていこうとするのが民主党だ。

そのために社会保障も充実させていく。デフレ対策には劇薬を使うこともない。少子化対策などをしっかり行い、持続可能な社会を作ろうとしている。

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