他人の子育てに「愛情不足」と口を挟む人の害悪 あまりにも主観的で根拠のない「決めつけ」だ

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病気のときも同じです。たとえば「風邪をひいたけれど、寝ているほど具合が悪くない」というときに親ができることは、自宅などの子どもが慣れた環境で、母乳・ミルクや食べやすい食事、清潔な衣服と寝具を用意し、いつでも休める状況下で遊ばせることです。

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深刻な病気かもしれないと思ったり、症状を和らげる薬が必要だったりしたら、小児科を受診します。こうした一連の行動こそが、愛情ではないでしょうか。

親の愛情について書いてきましたが、愛情が不足していると責められるのは、お父さんよりも、お母さんのほうが圧倒的に多いでしょう。そういった風潮のせいで、子どもに何かあると当のお母さんも自分だけを責めがちです。

私もそうでした。誰に言われたわけでもないのに、「なんでもっとしっかりみてあげられなかったんだろう」「母親失格じゃないか」と思い込んでしまっていたのです。不思議ですよね。親は2人いることを、お父さんにも同等の責任があることを、忘れないようにしましょう。

愛情不足という「決めつけ」は有害

また、もし親が子どもに対して愛情を感じられず、ふさわしい行動がとれないとしたら、「愛情が不足しているから増やしなさい」と指摘しても解決にはつながりません。支援が必要です。

実際、子どもに起こる困った事象で、親を責めることで解決するものはないと思います。まして、なんの落ち度もない親を「愛情不足」と決めつけることには害しかありません。子どもに関わる仕事をしている大人には、特に注意してほしいと思います。

森戸 やすみ 小児科専門医

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もりと やすみ / Yasumi Morito

1971年、東京生まれ。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、2020年6月1日、東京都台東区に『どうかん山こどもクリニック』を開業予定。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本を書いていきたいと思っている。『新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』など著書多数。

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