テレワークで憂き目に遭うのはどんな社員か コロナ後は「優秀なテレワーカー」の時代に

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──アウトソーシングの動きが加速すると、社員もうかうかしていられなくなります。

正社員だからといって、いつまでも大きな顔をできない時代がすぐそこまで来ている。というのも、これまで住環境や介護を理由に、物理的に出社できなかった層、いわゆる「くすぶり人材」を発掘してテレワーカーとして活用したほうが、効率よく業務が進むからだ。

実は弊社でも、人事担当はフランスに住んでいるテレワーカーだ。彼女は国内大手のコンサルティングファームで人事マネジャーを15年勤め上げてきたベテラン。しかし、夫の海外赴任でパリ郊外に移住し、離職を余儀なくされた。輝かしいキャリアと実力があるのに、仕事といえば通訳や翻訳の仕事がたまにあるだけ。そうした中、縁あって弊社のテレワーカーとして登録。今や社員として欠かせないメンバーになっている。

地方にも優秀な人材が眠っている。弊社に登録している売れっ子で、広告代理店から指名が絶えない「パワポ職人」がいるが、彼女は熊本県に住んでいる。三児の母でもある彼女は現在、義母の介護も担っているため、通常のオフィス勤務は厳しい状態だった。

しかし、彼女が作成するプレゼン資料はプロもうなる出来栄え。今では、企業がクライアントに提出するための資料作成を請け負い、制作するチームのディレクターとして完璧な進行管理を熊本にいてやってくれている。彼女のおかげで発注数も10倍に急増した。

今後は、使えない総合職おじさんよりも、こうした優秀なテレワーカーたちにアウトソーシングする動きが加速していくだろう。

24時間365日の稼働も可能になる

──そうしたテレワークが進んでいくと、今後は新たな働き方が生まれる可能性もありますね。

現在、弊社に登録しているテレワーカーの14%は海外に在住しており、その拠点は22カ国にも及ぶ。こうした人材を活用し、海外との時差を生かしながら24時間365日、フル稼働のサービスも可能になってきている。

例えば、「明日の朝イチでプレゼン用の資料がほしい」という仕事があったとする。それを日本時間の夕方にヨーロッパ在住のチームに依頼すると、彼らは始業とともに作り始める。

そして、夜中にアメリカ在住のテレワーカーに引き継いで仕上げていけば、日本時間の次の朝には資料が出来上がっているというわけだ。これは、一部の大手広告代理店や通信会社などですでに行われている。

こうした流れは止めることはできない。今からすべての業務を見直し、テレワークシフトを真剣に検討すべき時がきているといえるだろう。

アケミン ライター

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あけみん / Akemin

1978年生まれ。幼少期をアフリカ、メキシコ、ブラジルで過ごす。大学卒業後、映像翻訳のアシスタントや派遣事務を経て03年AVメーカー「DEEP’S」に就職。その後、「アイデアポケット」に転職後、2009年退社、フリーライターに転身。現在はスポーツ新聞でのコラムや男性誌でのAVレビューを主に執筆中。またイベント「スナックアケミン」も不定期開催。『うちの娘はAV女優です』(幻冬舎)ははじめての著書となる。最近は、SPAなどでビジネス記事を執筆。
ツイッター @AkeMin_desu
ブログ http://blog.livedoor.jp/akemin_1024/

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