2022年卒の学生にもじわり影響「就活」の現実 アフターコロナの就職活動はどうなるのか

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例えば、最終面接まではオンラインで行い、採用面接のみ対面方式で行うなどをとる企業が増えてくる可能性があります。また、学生からの応募を待つような従来の方法だけではなく、アメリカで行っているような「ダイレクトリクルーティング」(SNSなどを通じて企業側からダイレクトにコンタクトをとる手法)を行う企業も出てくるでしょう。

こうした新しい技術が浸透していくなかで、企業が求める人材像も変わってきます。オンライン就活が当たり前となってくる来年以降に求められる人材は、グローバル化時代に対応できる「デジタル・マインド」と「デジタル・スキル」を持ち合わせた人材になるでしょう。

これまで企業は、グローバルスタンダードのデジタル化を目指すとしていましたが、大きな変革をすることに対して二の足を踏んでいた感がありました。ところが、新型コロナの蔓延により、オンライン化へのシフトが必然となりました。この急速な変化に対して、迅速に対応している企業はまだ少ないように思います。多くが試行錯誤しながら、新しいやり方を模索しています。

既存社員のデジタルスキルの低さが問題に

そんな中、経営者が直面しているのは、既存社員のデジタルスキルの低さです。こうした現状を打ち破るためにも、今後企業は、「デジタル・マインド」と「デジタル・スキル」を持ち合わせた人材を求めていくはずです。

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平時は、「改善」はできても「改革」は難しいものです。ところが非常時は、平時の安定性が崩れているからこそ、考え方を変えれば現状を見直すきっかけになります。

これまでの採用計画は、かなり手がかかり、コスト面についても問題がありました。前向きに捉えるならば、これは変革のチャンスです。長い目で見れば、オンライン化が当たり前になることで、企業内におけるさまざまな改革ができるというメリットもあるでしょう。

現実には多くの企業の売り上げが減少し、利益も大幅に減ったことは大きな痛手であることは間違いありません。ただ、未曾有のウイルスに対応し、乗り越えることができれば、日本社会はこうした危機に対する免疫を獲得することができます。そういう強い社会を期待していまは耐え忍ぶ時期なのです。

吉井 伯榮 武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部客員教授

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よしい はくえい / Hakuei Yoshii

1953年生まれ、群馬県出身。2022年文部科学省高等学校教科書『ビジネス・コミュニケーション』執筆者、総合監修者。大学ではビジネス系の科目を担当、これまで担当してきたゼミでは、多くの学生を一流企業や一流大学院に送り出している。その傍ら、全国各地の企業や団体に向け、自らが創案した行動分析心理学「サイグラム」を応用したセミナーを開催し、家族や組織のコミュニケーション活性化のアドバイスを行っている。一般社団法人日本パーソナルコミュニケーション協会代表理事。JPCA子育て診断士会会長。

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