ゼンリン、世界初の「空の3次元マップ」を作る訳 地図データを利用し、新たな市場を開拓する

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ゼンリンの収益柱となっているのは、自動車メーカーやカーナビメーカーへ納入するカーナビ用データを中心としたオートモーティブ事業で、2019年3月期には全体の売上高の29%を占めていた。ただ、カーナビは新車の購入と同時に購入される場合がほとんどで、データ販売の売り上げは新車販売台数に左右される。

より安定的な収益基盤づくりのためにゼンリンが取り組んでいるのが、地図を利用した新たな市場の創出だ。バスやタクシー会社、IoTサービスの事業者など、人やモノの移動に関連した新たなサービスを検討している企業に対し、そのサービスの基盤となる地図情報を提供する。

例えば、電車やライドシェアなど複数の公共交通サービスを1つのサービスとして統合する「MaaS」(Mobility as a Service)。これが実現すれば、観光スポットや飲食店などの位置情報の提供にはじまり、目的地までのルート検索、混雑などの交通課題を可視化できる。一つひとつのサービスを結びつけるのが地図情報だ。

2022年にドローン市場は盛り上がる

ゼンリンの田内氏は「例えば、トラックで乗り換え場所まで荷物を運び、(最終拠点からエンドユーザーまで届ける)ラストワンマイルはドローンで運ぶなど、ドローンはマルチユースな使い方が期待できる。そこで空の地図を有益的に提供していきたい」と話す。

政府は、より高い安全性の確保が必要になる有人地帯でのドローンの目視外飛行を2022年に実現することを目標に掲げ、技術開発と運航ルールなどの検討を進めている。

ドローン推進課の深田雅之課長は「ドローン業界は、飛行時間や規制の問題など、実際の運用に向けて課題が見えてきたところ。この段階を乗り越え、一気に市場が盛り上がるのがまさに2022年だ。そこをマイルストーンにして空の3次元地図も開発を進めている」と意気込む。

新たな市場を求めて空へ飛び出したゼンリン。はたして空でも「地図の王者」になることができるか。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、コンテンツ、コンサル業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

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