「グーグルマップ」はどこまで勢力を広げるのか 誕生から15年、10億人が使う巨大アプリに
もはや単なる地図ではない。飲食店や観光地の写真や評価を見てリストに入れたり、目的地までの交通機関や道のりを調べたり、車の中ではカーナビとして使ったりする。アメリカのグーグルが開発した地図アプリ「グーグルマップ」。もはや使わない日はないという人も少なくないだろう。
グーグルマップが生まれたのは2005年、デスクトップ向けから始まった。ウェブブラウザー内でドラッグしながら地図を見られるという体験は、当時としては画期的だった。今年2月には15周年を迎え、世界で10億人以上のユーザーを抱える規模に成長。今やグーグルを象徴するサービスだ。
始まりはベンチャー2社の買収だった
ただ、実はグーグル自身が一から開発したわけではない。その起源は、「Keyhole(キーホール)」と「Where 2 Technologies (ウェア2テクノロジーズ)」という2つのベンチャー企業にある。グーグルは2004年にこの2社を買収し、衛星・航空画像のデータベースとウェブ上でのマッピング技術を得た。キーホールのCEOだったジョン・ハンケ氏は現在、スマホゲーム「ポケモンGO」で知られるナイアンティックのCEOだ。
「初めは車を運転する際に、グーグルマップを印刷しなければならなかった」。アメリカ本社でグーグルマップの最高責任者を務めるジェン・フィッツパトリック上級副社長はそう振り返る。当時のグーグルマップには「印刷」ボタンがあった。また、今ではユーザーの多くが使う乗換案内の機能も初めは「トリッププランナー」という別サービスとして2005年に始まっている。
2007年には360度撮影可能な球体状のカメラを載せたグーグルの車が街中の撮影を始めた。これが「ストリートビュー」だ。街や道路を上から見るだけでなく、遠く離れた街でも写真で入り込めるようになった。前代未聞の試みに対し、プライバシーの懸念も持ち上がった。この年にはアメリカ国内で、道路の渋滞状況が赤や緑などで色分けされる「リアルタイム交通状況」の提供も始まった。
そしてフィッツパトリック氏が「抜本的な変化となった」と振り返るのが、2008年のモバイル版への展開だ。スマホOS「アンドロイド」を搭載した初めての製品が発売されたのと同じ年で、リリースから3年で誰でもマップを持ち歩けるようになった。
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