ゼンリン、世界初の「空の3次元マップ」を作る訳 地図データを利用し、新たな市場を開拓する

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ドローン物流に欠かせないのが、ゼンリンが開発に取り組む空の3次元地図だ。

ドローンを飛ばすためには河川や道路などの地形情報、送電線、樹木などの障害物情報に加え、空港、人口集中地区などの飛行規制エリア、さらに気象などの動的情報などが必要になる。農業やインフラの点検作業などに使われているドローンは、飛行ルートを決める際に人手でこれらの情報を確認しながら通過点をプログラミングするのが一般的だ。

だが、地形が複雑だったり、悪天候下でドローンを飛ばす場合には時間やコストがかかり、飛行ルートの安全性の根拠も示せない問題があった。

住宅情報データをもとに開発に着手

空の3次元地図には、地上にある建物の高さなど、細かな3次元情報が盛り込まれる予定で、より安全にドローンを飛ばすことができる。ドローンの飛行ルートを設定し、飛行ログ(記録)を検証するうえでの土台にもなる。飛行ルートを地図上に表示できる機能は海外にも存在するが、国全体を網羅する地図プロジェクトは世界に例がない。

ゼンリンがドローン関連のプロジェクトを立ち上げたのは2015年のことだった。2016年9月に専任組織の「ドローン事業推進課」を新設し、ゼンリンが保有する地形や建物などの情報をベースに、空の3次元地図の開発に着手した。

ゼンリンは住宅地図の調査の段階で建物の階数も調査しているため、3次元地図を作るための全国レベルのデータベースをすでに持っていた。ドローン用に建物の正確な高さを測量し、送電線などの障害物の情報を電力会社などから入手することで、全国規模の3次元地図を作ることができる。

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