ゼンリン、世界初の「空の3次元マップ」を作る訳 地図データを利用し、新たな市場を開拓する

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ゼンリンは国内最大手の地図情報会社だ。全国70拠点で1日約1000人の調査スタッフが住宅地図作成のために現地調査を行っている。国内では圧倒的なシェアを誇っており、同時に地図のデジタル化も進めている。

2008年には自動運転時代を見据え、高精度の3次元地図マップの開発を始めた。道路の高低差やカーブの形状などの3次元データを事前に地図情報として得られれば、センサーで認識した情報と照合することで位置をより正確に測定できる。

トヨタや日産と自動運転で提携

2016年には、トヨタ自動車などの自動車メーカーや三菱電機などとともに、3次元高精度地図の整備や実証を行う会社「ダイナミックマップ基盤企画」(現:ダイナミックマップ基盤)を設立。2019年には日産自動車が開発した運転支援システムに3次元高精度地図を提供している。

ゼンリンIoT事業推進部の田内滋部長は「自動車の自動運転のためにセンサーだけでなく地図が必要なように、ドローンの自動制御技術が進んだとしても地図が必要になる。(住宅地図などの)人が読むための地図と比べ、ドローンや自動運転の自動車などが読むための地図は、情報の鮮度と位置情報の精度がより重要になる」と話す。

空の3次元地図の開発は、ビジネスモデルの変革を目指しているゼンリンの経営戦略上も重要だ。

ゼンリンの2019年3月期の売上高は過去最高の637億円、営業利益は58億円で4期連続増益となった。しかし、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年3月期は、カーナビ用データ販売など自動車向けが大きく落ち込み、営業利益は前期比43%減の33億円となった。

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