「米失業率が最悪でも株価上昇」で大丈夫なのか もう一度「暴落」する危険性はないのだろうか

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このような筆者の見解を説明するには「そもそも当初から相場展開をどう見込んでいたか」という点から話を始める必要があるだろう。ただ、そうした「そもそも」話は、以前から当コラムで解説してきたので、読者のなかには「またか」と感じられる方も多いと思う。ご容赦賜れば幸いだ。

株価下落の主要因はコロナでなく「2匹の灰色のサイ」

まず、3月後半にかけての主要市場での株価下落をどう解釈するかだが、株価下落の主要因は、ブラックスワン、つまり新型コロナウイルスの流行という想定外の出来事ではなかったと考える。むしろ、2匹の灰色のサイ、すなわち市場参加者の多くが「そんなことはわかっている、市場はとっくに織り込んでいる」と無視していた既知の要因が、株価を大きく押し下げたと判断している。

そうした2匹のサイとは、1)アメリカの株価が正当化できないほど割高だった、2)日本の経済や企業収益が昨年からとっくに悪くなっていたのに、アメリカ株の上昇により日本株も(日経平均先物への海外短期筋の買いで)吊り上げられていた、であった。

つまり、かなり乱暴な言い方だが、新型コロナウイルスの流行があってもなくても、日米等の株価は大きく下落しただろう。そうした背景から、日経平均が1万6000円程度に下がる、とずっと述べていたわけだ。

2匹のサイが、ついに今年になって暴れ始め、世界的な株価下落を引き起こしたわけだが、1)の観点からは、S&P500指数の予想PER(株価収益率、ファクトセット調べ)をみると、近年は通常15~17倍で推移するが、週平均値では2月21日に終わる週に19.0倍に達していた。これは近年の最高記録であった2018年1月の18.7倍を上回っており、買われ過ぎによる株価の大幅下落が生じたのは、自然なことであった。

その予想PERは、今年3月20日の週に14.0倍と、近年の最低水準に並ぶところまで低下した。つまり、3月の株価下落で調整十分、と解釈できる。

一方、2)の観点からは、日本では景気も企業収益も昨年から既に悪化傾向を強め、アナリストの企業収益予想の平均値が下方修正され続けていた。このため予想PERで株価の適正水準を議論しようとしても、分母の予想利益がどこまで小さくなるかわからず、PERは使い物にならない。

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