RPAで「ロボットが企業を変える」は幻想なのか アフターコロナで業務自動化は引き返せない

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ちなみにビズロボは、アメリカのKapow Technologies社(後にKofax社が買収)とライセンス契約を結び、同社のツールを基に開発したもの。日本語OEM版と紹介されることもあるが正確ではない。複数のソフトウエアを組み合わせており、「Kapowの技術で構成されているのは、ビズロボのソリューションのうち50%程度」(ビズロボを事業展開する子会社・RPAテクノロジ-ズの大角暢之社長)という。さらに業務提携するソフトバンクは2017年から、ビズロボを基に開発した「SynchRoid(シンクロイド)」を提供している。

RPAHDの高橋知道社長は、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、ソフトバンクを経て、前身となるデジタルリパブリックを創業した(写真:RPAHD)

サービス当初はRPAという概念もなく、営業活動は困難の連続だった。ツールを説明すると、「何だかわからない。怪しい技術ではないのか」などと不安がられた。既存のITベンダーから執拗に妨害されるケースもあったという。RPAHDの高橋知道社長は「最初の数年間は鳴かず飛ばずだった。事業規模も小さく、会社の足を引っ張っていた」と振り返るほどだ。

2013年にはビズロボジャパンを設立したが、そのときですら、ホワイトカラーの業務を代行するという認識がグループ全体に広まっていたわけではなかった。それでも、2014年に生命保険最大手の日本生命がビズロボを導入、「日生ロボ美」と名付けるなど、先進的な企業を軸に実績を積み上げていった。

ブームが沈静化。例外には対応できない?

転機が訪れたのは2016年ごろ。「RPA」のワードが世界に広まったのだ。「経営革新のキーワードとして認識されたことがきっかけだった。われわれが想像していた以上の急速なブームになった」(高橋社長)。ビズロボも本格的にマーケティングを開始し、大企業を中心に導入を進めた。

以降、業績は大幅に拡大し、セールスエンジニアなど人員も増員。手狭なオフィスは増床を繰り返した。2016年にビズロボジャパンはRPAテクノロジーズに社名変更、2017年には持株会社もRPAHDとし、RPAブームを牽引することになる。

当時のブームはすさまじく、大企業の9割が何らかのRPAツールを導入するまでになった。そこで2019年度は中小企業向け「ビズロボミニ」の拡販を重点戦略に掲げている。より深刻な人手不足と業務効率化の課題を抱えるのは、中小企業や地方企業という認識があったからだ。

ミニはデスクトップ型と呼ばれ、特定のパソコン上で動くサービス。主力の「ビズロボベーシック」はサーバー上でロボットを実行し、集中的に管理できるが、サーバーを含む導入費用が年間1000万円を軽く超える。年間90万円と費用を抑えられるミニで裾野を広げる狙いだ。

しかし、ここに誤算があった。全国に販売網を持つ、リコーや富士ゼロックスなどを販売パートナーとして臨んだものの、思うように進まない。ビズロボは、顧客自身が現場の業務に即したロボットを作り、運用しなければならない。導入には手厚いサポートが必要で、”手離れが悪い”商材なのだ。だが、RPAHDは販売パートナーに対して、十分なサポート体制をとれなかった。加えて前述のようにRPAブームも沈静化。遅れを取り戻せず、苦い1年となった。

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