新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが進む中、パソコンの需要が急増している。
全国の主要家電量販店のPOSデータを集計するBCNは4月の第3週(4月13~19日)のパソコン販売台数が前年同期比で64.7%増になったと報じた。都内のある家電量販店の販売員は「大型家電の販売は鈍っているが、パソコンや周辺機器は次々と売れる」と話す。
JEITA(電子情報技術産業協会)によれば3月の国内パソコン出荷台数は前年比22.6%減だった。新型コロナで、中国にあるサプライチェーン(供給網)が寸断され、主要部品が不足したことが主因だ。一方で4月に入ってからは中国の工場稼働が進み、サプライチェーンの回復が本格化したことで、部品不足が解消へ向かいつつある。
だが、在宅勤務やオンライン授業の増加にともなう異例の需要増が始まったことで、いまだ供給が追いついていない状態だ。前述の販売員は、「任天堂のゲーム機『スイッチ』ほどではないが、パソコンは品切れになることが多く、お客様をイライラさせてしまっている」と肩を落とす。家電量販店「ビックカメラ」のEC(ネット通販)サイトではパソコンで次回入荷が未定の機種もまだ多く残る。
さまざまな新製品が発売延期に
今後もサプライチェーンを構成する部品工場や事業所で新型コロナの感染者が出ると、操業が停止してまた部品不足に陥る懸念が続く。パソコンであれば数千点に上る部品の1つでも欠けると製造に支障をきたす。そのため、局所的に部品がないと製造台数が下押しされてしまう。
新型コロナの影響でサプライチェーンの脆さが明らかになったのはパソコンだけではない。パナソニックではビルトイン型自動食器洗い機の納入が滞ったほか、3月に発売を予定していたロボット掃除機の新機種発売が4月にずれた。カメラメーカーではニコンが3月に発表を予定していたデジタル一眼レフの新機種を5月発表に延期。キヤノンも部品調達が不安定なことを理由に、3月国内のカメラ生産を一時休止した。
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