宅配の急増と感染リスクで物流はギリギリ 巣ごもり需要でアマゾン、メルカリの荷物急増

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2020年3月以降、従業員の感染が確認された物流会社は、セールスドライバー4人が感染した宅配大手のヤマト運輸をはじめ20社を超える。中でも40万人の従業員を抱える日本郵便では、3月から4月末にかけて14都道府県21カ所の郵便局で35人の感染者が出た。

感染者の勤務していた事業所は、一時閉鎖して保健所の指導に従い消毒などを行わなければならない。その間、業務は近隣事業所で対応せざるをえないため、配送遅延も発生する。4月14~16日、17~23日の2度にわたり業務を停止した神奈川県川崎市の登戸郵便局では一時期、郵便物が22万通、ゆうパックが1万個、配送できず滞留した。

感染者が出ていなくても影響は出ている。アスクルの運営する日用品EC「LOHACO(ロハコ)」では2月28日から出荷遅延が生じている。通常と比べると首都圏では7~8日ほど出荷が遅延。出荷能力の高い拠点がある関西でも2~3日ほどの遅れだ。

増員、24時間対応が難しい

アスクルの出荷遅延は、顧客の注文数が倉庫からの出荷量の上限を上回っていることが直接的な理由だが、「感染拡大のリスクがあるため、本社から応援を出し増員する、倉庫を24時間稼働させるなど通常時の対応が難しい」(アスクル広報担当者)ことも影響している。現状は遅延を解消できる見通しが立っていない。

感染防止のための取り組みでは、ヤマト運輸が全国の営業所で車両・機材・施設を毎日複数回消毒したり、日本郵便は全国の郵便局窓口でビニールカーテンの設置を進めたりしている。3PL(物流の一括受託)大手の日立物流も、感染者が出たときに物流センター全体に影響を及ぼさないよう、従業員の作業場所や作業チームを限定して濃厚接触者を最小限に抑えるようにしている。

品薄状態のマスクについては、物流会社も確保に苦慮している。中堅物流会社の中には、「2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行のときに備蓄したものも含めて、使えるマスクはすべてかき集めて従業員に10枚ずつ配った」ところもある。

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