宅配の急増と感染リスクで物流はギリギリ 巣ごもり需要でアマゾン、メルカリの荷物急増

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物流会社を監督・指導する立場にある国土交通省は、トラック運送やタクシー等の運送事業者に対して、始業点呼時の体調確認とマスク着用、手洗い励行などの予防策を徹底するよう要請。マスクの生産事業者も紹介している。とはいえ、感染防止策は企業側に委ねられている状態だ。

だが、感染がさらに拡大し各社の自助努力だけでは物流を維持できなくなる事態も想定しておくべきだろう。政府の定める「新型インフルエンザ対策ガイドライン」の2009年版では、「想定される社会機能の状況とその維持に当たり企業等に期待される対策・目標」が示されている。

国交省の具体的な対策はなし

貨物運送や倉庫などの物流については、①従業員不足による集配の遅延、サービスの中断、②物流量が大幅に減少、③宅配、通信販売等に対する需要が大幅に増加、という3点が「感染拡大期」と「まん延期・回復期」(現在は両者を合わせて「国内感染期」)で起こると想定。物流確保のための業務資源の集中と感染防止策の継続的強化を対策として掲げていた。

感染拡大リスクを考えると、キーワードになるのが「業務資源の集中」だ。企業の事業継続計画(BCP)策定を専門とする三菱総合研究所の丸貴徹庸氏は、「行政は生活必需品などにかかわる”生かすべき物流”を示し、段階的に物量を制御していく必要がある」と指摘する。

これについて、国交省は「物量をコントロールすることは想定していない」(自動車局貨物課)と言う。一方で、「食料品や生活必需品などにかかわる物流がより重要であり、必ず維持しなければいけない」とするが、具体的な方策はみられない。それだけに、各企業や現場の努力でギリギリのところで物流を維持しつづける状態が続きそうだ。

佃 陸生 東洋経済 記者

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つくだ りくお / Rikuo Tsukuda

不動産業界担当。オフィスビル、マンションなどの住宅、商業施設、物流施設などを取材。REIT、再開発、CRE、データセンターにも関心。慶応義塾大学大学院法学研究科(政治学専攻)修了。2019年東洋経済新報社入社。過去に物流業界などを担当。

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