北米発「アマゾンキラー」がいま楽天と組む真意

コロナで浮き彫り、「アマゾン依存」のリスク

カナダ発、中小EC事業者向けのプラットフォームを手掛けるShopifyが楽天と連携する形で日本でのさらなる事業拡大を図る(写真:Shopify)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請を受け、日本でもネット通販(EC)への需要が急増している。
そんな中、中小EC事業者向けのプラットフォームを手がけるカナダのShopify(ショッピファイ)が4月7日、楽天のマーケットプレイスである「楽天市場」とのシステム連携を発表した。北米で楽天市場を利用するEC事業者を増やしたい楽天と、日本におけるビジネスを拡大したいショッピファイの思惑が合致した形だ。
ショッピファイは、EC事業者向けに商品の在庫管理から配送や決済まで管理するシステムを、定額課金(サブスクリプション)で提供しているSaaS企業だ。複数の決済手段や言語に対応した自社ECサイトを、初期費用を抑えて構築できるだけでなく、見た目や機能を自由にカスタマイズ可能なため、中小事業者を中心にショッピファイの利用は広がっている。
また、マーケットプレイスと違い、サイトでの販売額に応じた手数料がかからず、ユーザーの購買データも自社で蓄積可能な点もメリットだ。EC最大手であるAmazon(アマゾン)以外の販路を求める北米のEC事業者から支持を得ており、「アマゾンキラー」とも呼ばれている。
2019年末時点で100万以上の事業者がショッピファイを利用しており、とくに新型コロナの感染拡大が始まってからの新規契約先の増加は顕著だという。2015年にトロント証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場しており、2020年4月末時点での時価総額は730億ドルを超えている。
楽天市場との連携を通じて、ショッピファイは何を目指すのか。日本のカントリーマネージャーを務めるマーク・ワング氏にその真意を聞いた。

マーケットプレイスだけが欠けていた

――ショッピファイが楽天市場と連携する狙いはどこにあるのでしょうか?

ショッピファイはマルチチャネルのプラットフォームであり、EC事業者に多様な販売チャネルを提供することをミッションとしている。日本では、自社ECサイトはもちろん、FacebookやInstagramを通じた販売、Google Shopingなどにもすでに対応している。ただそうした中、唯一欠けていたのが大手マーケットプレイスとの連携だった。

今回の連携によってショッピファイを利用するEC事業者は、われわれのシステムを通じて自社サイトと楽天市場の情報や在庫を一元管理できる。つまり、ショッピファイを使えば管理の負担を増やさずに、(自社サイトと楽天市場の)両方で販売できるようになるので、より大きな価値をEC事業者に提供できるようになったと考えている。

また、越境ECにおけるショッピファイのプレゼンスを高めることもできそうだ。アメリカでは何十万というEC事業者がショッピファイを利用しているが、その中には、売上の50%以上を日本で稼いでいるという事業者も少なくない。そうした事業者が楽天市場を販売チャネルに加えられれば、日本でのさらなる成長を目指せる。日本に進出していない事業者にとっても、世界で4番目に大きなEC市場である日本に楽天市場を通じてモノを売れるようになる。

われわれの考えを理解してくれたのが楽天だった。正直なところ、ショッピファイという企業やサービスを知らない日本の企業も非常に多い。ショッピファイが日本での事業を自分たちだけで拡大していくのは難しい。一方で楽天は、日本の消費者や事業者からいちばん信頼されているブランドだ。その楽天と協業することで、そうした日本の伝統的企業にもアプローチしていきたい。

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