北米発「アマゾンキラー」がいま楽天と組む真意 コロナで浮き彫り、「アマゾン依存」のリスク
マーケットプレイスだけが欠けていた
――ショッピファイが楽天市場と連携する狙いはどこにあるのでしょうか?
ショッピファイはマルチチャネルのプラットフォームであり、EC事業者に多様な販売チャネルを提供することをミッションとしている。日本では、自社ECサイトはもちろん、FacebookやInstagramを通じた販売、Google Shopingなどにもすでに対応している。ただそうした中、唯一欠けていたのが大手マーケットプレイスとの連携だった。
今回の連携によってショッピファイを利用するEC事業者は、われわれのシステムを通じて自社サイトと楽天市場の情報や在庫を一元管理できる。つまり、ショッピファイを使えば管理の負担を増やさずに、(自社サイトと楽天市場の)両方で販売できるようになるので、より大きな価値をEC事業者に提供できるようになったと考えている。
また、越境ECにおけるショッピファイのプレゼンスを高めることもできそうだ。アメリカでは何十万というEC事業者がショッピファイを利用しているが、その中には、売上の50%以上を日本で稼いでいるという事業者も少なくない。そうした事業者が楽天市場を販売チャネルに加えられれば、日本でのさらなる成長を目指せる。日本に進出していない事業者にとっても、世界で4番目に大きなEC市場である日本に楽天市場を通じてモノを売れるようになる。
われわれの考えを理解してくれたのが楽天だった。正直なところ、ショッピファイという企業やサービスを知らない日本の企業も非常に多い。ショッピファイが日本での事業を自分たちだけで拡大していくのは難しい。一方で楽天は、日本の消費者や事業者からいちばん信頼されているブランドだ。その楽天と協業することで、そうした日本の伝統的企業にもアプローチしていきたい。