ヤマト、ヤフーとのタッグ結成に見るジレンマ

荷物量の回復と料金引き下げの狭間で揺れる

ヤマトホールディングスの長尾裕社長(右)とZホールディングスの川邊健太郎社長はオンライン会見で新サービスをアピールした(写真:Zホールディングス)

「トップ同士の交渉で大手顧客からの荷物は戻りつつある」――。2020年1月末の決算発表の場で、ヤマトホールディングス(HD)の芝﨑健一副社長はそう断言した。それから3カ月ほど経った今、ヤマトの荷物量回復のシナリオが徐々に明らかになってきた。

2020年3月24日、宅配便最大手であるヤマト運輸の親会社であるヤマトHDは、ヤフーを傘下とするZホールディングス(以下、ZHD)とともに「Yahoo!ショッピング」や「PayPay(ペイペイ)モール」の出店者向けサービスを提供することを発表した。

2020年6月末から、商品の在庫管理なども含め受注から宅配までをヤマトが一括で請け負う「フルフィルメントサービス」など、物流アウトソーシングサービスを出店者に提供していく。ZHDの川邊健太郎社長は「提携を通じて、長年の課題であった商品の翌日配達率の大幅改善につなげたい」と語った。

お互いの思惑が一致した

EC(ネット通販)でZHDと競合するアマゾンは「フルフィルメント by Amazon(FBA)」、楽天は「楽天スーパーロジスティクス」という独自の物流アウトソーシングサービスを有している。今回の新サービスは2019年秋頃にヤマト側から打診のあったものだが、翌日配送の充実など物流面で課題のあったZHDからすれば渡りに船の提案だった。

一方のヤマトからしてもZHDの出店者からの荷物を確保でき、荷物量の底上げにつなげられる。「(出店者に)リードタイム短縮やコスト削減などの価値を提供していく」(ヤマトHDの長尾裕社長)。配送料分のPayPayポイントをユーザーに還元する「実質送料無料キャンペーン」(2020年6月末から同年12月末までを予定)による後押しもあってか、翌25日時点では出店者から1000件以上の商談申し込みがあった、とリリースを出し鼻高々だ。

株式市場も物流アウトソーシングサービスを通じて荷物量が増えることを期待してか、ヤマトHDの株価は上昇してきている。新型コロナウイルスの感染拡大で恐怖指数が急上昇した2月25日頃から株価は下落したものの、ZHDとの新サービスを発表した3月24日以降の株価は1600円台後半から1700円台を維持している。4月10日の終値は1868円であり株価は回復傾向にある。

次ページメルカリとも連携強化
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • コロナショックの大波紋
  • iPhoneの裏技
  • コロナ戦争を読み解く
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
“臭いものに蓋”で終わるのか<br>JDI「不正会計」の晴れぬ闇

ジャパンディスプレイが不正会計について、第三者委員会調査報告書を公表しました。しかしその内容は有識者8人のうち7人がF(不合格)の格付けをするほどの低評価です。自殺した社員に責任を押し付ける報告書の詳細をリポートしました。