コンテンツはAKBのように"顔"で売るべし ディズニーとニコニコが組むと、こうなった(3)
――今はわれわれのようなメディアも含めて、ネット化に翻弄されているコンテンツホルダーは少なくありません。情報の流れをコンテンツホルダーが握っていくためには、どうしたらいいでしょうか。
塚越 僕はCRM(顧客関係管理)だと思っています。(川上さんが)クラウドという言い方もされていたけれど、消費者と繋がる接点を繋いでいる、そこにこだわるということだと思うんですよ。コンテンツホルダーとしてインターネット時代には、お客さんが何を求めているのか、それにちゃんと答えられる仕組みを作っていかなければならないんだろうなと。
川上 パッケージコンテンツが20世紀に誕生して、それに対応して複製の仕組みができたのですが、そういう任務はもう終わったと思います。売り切りはすごく楽ですけど、それだとダメ。ユーザーとの間で接点をどういうふうに作っていって、その中でお金を儲けていくかというふうになると思います。
多分それがいろんな商売の進化ではないでしょうか。メンテナンスで収益を上げるというのは、あらゆる分野で起きています。コピー機にしても住宅にしても、メンテナンスですよね。
塚越 それで商売になっている。
川上 ハードウエアもそうですよね。修理とか。
――そっちのほうが儲かったりしますね。
川上 するんですよ。そっちのほうが。
ファンを作って売り込む

塚越 本編だけだったものが、違うサービスを提供する。音楽もゲームも本もグッズも。世界観をみんなに楽しんでもらえる環境を作れる。ムービーネックスはその一つの方法でしかないけれど、コンセプトはそういうことです。
川上 出版業界にも「自炊問題(ユーザーが本をスキャンし、電子データ化すること)」とかありますが、あれも出版社が認めたほうがいいと思います。手数料を取って。ユーザーとの関係を作ったほうがいいですよ。
ユーザーとの関係を作ることをコストとしか思ってないと思うんですが、アーティストなどもそうなっているじゃないですか。アーティストって何が大切かといったら、ファンクラブの名簿なんですよ。政治家だってそうでしょ?支持者の名簿ですよ。
――支持者、ファンがいるかどうかということになりますよね。
塚越 僕らも一緒ですよ。
――1回1回売って終わりじゃなくてファンを作って、そこに売り込む。
塚越 そうそう。次の新作はこうですよと。
――SNSとかで?
塚越 実はディズニーって、SNSは結構遅れているんですよね。もっと取り組めたら、面白いことが出来るだろうと思っているんですけど。