【産業天気図・工作機械】内需底ばい続く、外需は復調加速でも「土砂降り」不変
08年末の受注減が「急降下」状態だったため、仮に11月までのトレンドが続くならば12月受注は久々の前年同月比プラスとなる可能性がある。その結果、09年の年間受注総額は4000億円前後で着地すると見られる(08年は1兆3011億円)。巷間では10年度後半から設備投資が息を吹き返すとも言われているが、11月受注474億円を参考に月間平均500億円の受注が続くと仮定すると、10年は単純計算で6000億円台が視野に入ってくる。この09年比1.5倍増との見方は、今回の「会社四季報」新春号の取材過程で数社から得たイメージと合致するものだ。各社は目下、リストラ策に懸命に取り組んでおり、10年度に増収が実現すれば利益に直結しよう。
ただし、上海万博(10年5~10月)以後の中国経済については不透明感を指摘する向きが少なくない。欧米経済も依然低水準、円高は当然逆風となる。さらにエコカー減税等による需要先食いの反動減を懸念する声も聞かれる。他方では今月15日、米ボーイングが2年半遅れで最新中型機787の初試験飛行を成功させ、量産入りが濃厚になるなど明るい材料も出始めてはいる。
今年1~3月で最悪期こそ脱したものの、これら硬軟両方の材料が入り交じり、設備投資の風向きはいまだ定まらない。受注残の減少(11月末で前年同月比4割減の3735億円)等も考慮すると、少なくとも10年度前半までは厳しい状況が続くと慎重に見ておくほうが安全かもしれない。「会社四季報」新春号では森精機製作所<6141>やオークマ<6103>、東芝機械<6104>など一部メーカーについて今10年3月期あるいは来期の収益予想を一段と引き下げた。