「コロナ休学・退学」に怯える大学生の困窮実態 大学により「支援の有無」も分かれ始めた

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この4月の支給分から、奨学金は5万円から3万円に減額。半額免除だった学費も3分の1の免除に減らされてしまった。年間にすると、33万円の負担増だ。

「うちの家庭よりも苦しい学生がいるのだと思います。私以外でも、奨学金や学費の免除額が減ってしまった人はいます。奨学金の一部が給付型なのは嬉しいのですが、コロナの影響でこうなってしまうと正直すごく痛手。バイトも満足にできなくてダブルパンチです」

企業が休業中の従業員に支給する休業手当の一部を国が助成する「雇用調整助成金」が、アルバイトでも出ると聞き、店のマネージャーに頼み込んだ。書類作成に着手してくれてはいるが、実は使いにくい制度で支給に至った数はわずか0.1%とテレビのニュースで知った。

「もらえたとしても数千円ですが、申請できると聞いたときはすごく嬉しかった。でも、難しそうですね……」

バイト代がほぼ入らなくなり、月の生活費をまずは奨学金の3万円で賄える範囲に抑えなくてはならない。

「主に食べるのは、もやしとか豆苗。豆苗は栽培して2回食べられる。栄養バランスが悪くて悲しくなりますが、私は母がお米を送ってくれるのでまだマシ。もっと大変な友達はたくさんいる」とAさんは気丈に話す。

その後、母親から連絡があり、負担増となった学費については工面して払ってくれることになった。

「お母さんに無理させて申し訳なくて……」とAさんは涙ぐむ。

多額の奨学金を借りて地方進学させた親は…

親の側が置かれた状況も深刻だ。

都内に住む40代のBさんには、地方の私立大学に通う2年生の長男がいる。夫とともに切り盛りする飲食店は3月末から閉店状態。ランチのテイクアウトを始めたものの、近隣のオフィスに人は来ておらず、店頭に出した弁当は売れ残ってしまう。

「家賃の支払いもある。下の子どもたち2人と生活もしていかなきゃいけない。お兄ちゃんは自分で何とかしてもらうしかありません」

長男は多額の奨学金を借りて大学に進学しているが、夫はそもそも、そうまでして進学することに反対だった。だが、本人の強い希望があったため、母親であるBさんが後押ししたという。長男はバイトを減らされて生活がきつそうだが、何も言ってこない。

「将来を悲観して……なんて不安になるけれど、実際自分たちの生活で精一杯だから何もしてあげられない」

意欲をもって大学で学ぶ学生たちの”コロナプア”に、大学も手をこまねいているわけではない。早稲田大学が4月24日に「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う学生への緊急支援」の名目で総額5億円の支援を決定したのを皮切りに、私学、国公立とも続々と手を挙げている。

時事通信社の調査によると、独自の経済支援策を講じる大学が4月30日時点で100校超に上ることが判明した。名目としてはオンライン授業に備える通信環境整備費や生活費の補助などだ。全学生に一律で支援する大学が約70校で、金額は1万~5万円が多いという。

獨協大学はオンライン授業の負担軽減策として、約8600人の全学生に10万円を給付する。5月から始まるオンライン授業に向けた調査で、4割の学生に通信環境が整っていないとわかり、迅速な対応が必要と一律給付を決めた。また、法政大学のようにパソコンやルーターの貸与を予定している学校もある(5月1日現在)。

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