コロナ直撃のベンチャー、決死の「生き残り策」 業態転換に費用削減、危機をどう乗り越える

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KMWにとってもう1つ大きな課題は、売上高をどう確保するかだ。新規顧客の取り込みはもちろん、既存顧客の離反も防がなければならない。そこで染谷氏が取った策が、サービスの打ち出し方の転換だ。

「これまでは店頭で働く方の負担軽減ややりがいの向上を前面に出して提案していた。でもそのメッセージでは、新型コロナの影響で死活問題に陥っているような外食・小売企業には響かない。そこでもっと明確に店舗経営のコスト削減効果を示す、具体的には1店舗1店長から3店舗1店長の体制への移行を可能にするツールですよと説明する形に変えた」(染谷氏)

予断を許さない状況が続く

これに加え、新機能の開発も急ぐ。まずは防犯カメラ関連のソリューション開発を行う企業と提携し、店舗内の状況を遠隔で確認できるようにするほか、その動画や画像をデータ化できる仕組みの提供に向け準備中だ。

5月中には一部導入先店舗での実証実験を開始する。従来の店舗作業の効率化だけでなく、アルバイトの体温測定や外食のテイクアウトに関わる情報分析や業務フロー改善にも対応することも構想している。

こうした転換が奏功し、足元で「はたLuck」関連の新規商談件数は大幅に増えているという。既存先の解約も、コロナ影響で売上高が従前の1割にまで落ち込んでしまった外食1社のみにとどまっている。

とはいえ染谷氏は、この状況を楽観視していない。「まだ予断を許さない状況。今後もコロナ危機下で生き残れるだけの明確な事業計画の策定と実行をし続けることが重要だ。 約束と実行が信頼を生む。それをし続けなければ、投資家は納得してお金を出してくれない」(染谷氏)。

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