今日本で災害が起きたら「感染爆発」は免れない すでに時代遅れの避難所の見直しが急務だ

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中越沖地震では、雑魚寝がエコノミークラス症候群を引き起こす可能性が高いことがわかり、予防として簡易ベッドが有効であることをつきとめ、避難所に簡易ベッドの導入を国、自治体に働きかけてきた。

これにより、2019年10月の台風19号では非常に早く、安倍晋三首相から被災県にプッシュ型で発災2日後にダンボール型の簡易ベッドを送るよう指示してもらえた。だが、簡易ベッドが導入できたのは長野県の避難所で7日後から、福島県では10日後からだった。その間に福島県の雑魚寝の避難所では、ノロウイルスの集団感染が起きていた。

「密」がそろっている避難所

避難所の床は、たとえ小上がりの畳部屋であっても自宅よりも砂や埃が多い。こうした砂や埃は被災の影響で汚染されたものや、後片付けに行った衣服から落ちたものがほとんどで、細菌やウイルスを多数含んでいる。

雑魚寝の避難所では、寝る際に床や畳から口元まで距離が近い。つまり、床や畳の細菌やウイルスを含んだ埃を寝ている間に吸ってしまうことなどで、体が弱い人はノロウイルスや呼吸器の感染症などに感染してしまうわけだ。事実、東日本大震災後には、多くの人が肺炎に感染した。この点からも簡易ベッドの利用が欠かせない。

2つ目は避難所の「広さ」だ。新型コロナの感染予防のために、政府は「3密」を避けるように指示しているが、避難所は「密集」「密接」環境である。今のような1人畳1畳程度に雑魚寝をしている状態では、1人が感染したらあっという間に感染が拡大してしまう。

政府は人と人との距離を2メートル開ける「ソーシャルディスタンシング」を推奨しており、そのためには避難所において1人あたり4m2の広さが必要になる。実はこれは欧米では基準とされている広さだ。

例えば、筆者は2012年7月にイタリア北部地震のフィナーレエミリアの避難所の視察に訪れたが、そこでは大人6人用の立って入れる大型テントが200個ほど並んでいた。ただし、日本でこれだけの広さを確保するには少なくとも現在自治体が準備している避難所の倍の数が必要になるため、困難が予想される。

また、食事の配給やトイレの行列をなくすなど、ほかの状況でもソーシャルディスタンシングを確保する必要がある。そのためには例えば、きちんと手を洗える水洗いの場や、トイレの数を増やしたり、食事をするための食堂を設ける、配膳制にするといったことが必要だろう。

前述のフィナーレエミリアの避難所にはきちんと食堂があり、その場で温かい食事が提供されていた。トイレについても、20人に1つの割合で避難所敷地内に仮設トイレが設置されていた。敷地内にはこのほか、シャワー室やランドリーも用意されていた。

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