ヤマハの次世代「3輪電動車」に商機はあるか 次世代モビリティの戦いに「楽しさ」で挑む

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「東京モーターショー2017」に参考出品された「TRITOWN」のコンセプトモデル(筆者撮影)

世界の自動車業界のトレンドは「CASE」だ。コネクテッド(通信)のC、オートノマス(自動化)のA、サービス(シェアリングなど)のS、そしてエレクトリック(電動化)のEの4文字でCASEとなる。世界中の自動車メーカーは、CASEに沿った技術開発を進めており、関連する機能を積極的に採用している。

一方で、CASEの動きは自動車以外にも広がっている。それが欧米で利用が広がる、パーソナルモビリティのシェアリングサービスだ。

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欧米の大都市の駅前には、電動のキックボードがずらりと並び、それをスマートフォンのアプリを使ってシェアリングで利用する人の姿を見るのは珍しいものではない。

そうした新しい移動サービスにも利用できそうな次世代パーソナル・モビリティがヤマハ発動機からも提案されている。それが3輪の電動車である「TRITOWN(トリタウン)」だ。

社内のアイデアグランプリで金賞を受賞

トリタウンは、2017年の東京モーターショーでデビューした電動の立ち乗りパーソナルモビリティだ。

最大の特徴は前輪が2輪、後ろが1輪という3輪であること。そして、曲がるときに前輪2輪が車体と同時に傾くこと。

前2輪が車体と同調してリーンし、自然な操縦感覚を実現するパラレログラムリンク(筆者撮影)

これは、ヤマハが発売している3輪のオートバイである「TRICITY(トリシティ)」や「NIKEN(ナイケン)」と同様のパラレログラムリンク機構ならではの動きだ。

乗車フィーリングは2輪のオートバイや自転車と似ているが、滑りやすい路面で安定度が高い。そのため石畳の多い欧州の都市部で、ヤマハの3輪のオートバイは非常に高い人気を誇っている。

最高出力500W(約0.7馬力)の電動モーターは後輪に内蔵されており、最高速度は25㎞/h。搭載する380Wのリウムイオン電池は約2時間で満充電となり、航続可能距離は約30km、車両重量は44kgとなる。

トリタウンのスタートは、2015年のヤマハ社内のアイデアグランプリにある。提案したのは、オートバイのLMW(Leaning Multi Wheelの略。モーターサイクルのようにリーンして旋回する3輪以上の⾞両の総称)の開発メンバーだ。

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