不急の「美容外科」に希望者が続出した不可解 日本美容医療協会が異例の自粛要請をしたが

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都内の美容クリニックなどのホームページを見てみると、緊急事態宣言の発出以降も、通常診療を続けている所も散見される。

脂肪吸引・豊胸・広範囲の皮膚切開を伴う手術などについては延期を検討するとしているが、ホクロの除去などの顔の小手術については感染予防対策を講じたうえで対応するというクリニックもある。

このように、日本美容医療協会からの要請には強制力はなく、協会の会員以外には要請した形にはなっていない。あくまで、各美容クリニックや消費者に対応がゆだねられているのが現状だ。

不急の医療行為であるがゆえの問題点

新型コロナの収束の見通しは一層不透明になっている。政府の緊急事態宣言も当初の期限であった5月6日から全国を対象に1カ月程度延長されることになった。すでに、夏や秋に予定されているイベントや各地の祭りなども中止、さらに来年に延期された東京五輪の開催を危ぶむ声まである。

コロナ禍で重要なことは政府、国民・消費者が一体となって不便・不自由はあっても感染を防ぐ努力をすることだ。そして医療関係者への十分な支援が必要である。

原則在宅勤務で、マスク着用が当たり前のこの時期に、美容外科手術が一部の消費者にとって好都合であることは理解できる。

しかし、美容外科手術が医療行為であるがゆえに、緊急時に医療資源をコロナ対策から奪ってはいけないことを理解し、控えることも大切だ。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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