不急の「美容外科」に希望者が続出した不可解 日本美容医療協会が異例の自粛要請をしたが

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日本美容医療協会は美容分野の公益社団法人で、苦情相談の受付などを行い、トラブルの防止対策や消費者啓発を行っている。こうした状況に危機感を持ち、緊急事態宣言が発せられる前の4月4日に消費者にむけて以下のような美容医療の自粛を依頼する文書を発表した(抜粋)。

美容医療をお受けになろうとお考えの方へ
新型コロナウィルス (COVID-19)感染予防に関する日本美容医療協会からのお願い
現在わが国だけでなく世界中で新型コロナウィルス感染が拡大しています。私たち日本美容医療協会は責任ある医療者として皆様にお願いがあります。
1) 現在不要不急の外出を控えるように、政府や都道府県から要請があります。美容医療は不要の医療ではありませんが、多くの方にとって不急の医療と考えます。またマスクや医薬品などの医療資源もそれを切実に必要としている現場に優先して使用していただきたいと考えています。手術後の継続的な治療などの必要な場合を除き、今お考えの美容医療は感染が収束するまでお待ちいただきたいと考えます。

あくまでも要請ベースだが…

あわせて、『新型コロナウィルス(COVID-19)に対する美容医療機関の対応について』と題して日本美容医療協会会員の医師や医療機関に対し、感染拡大阻止のために不急の需要を喚起するような広告・キャンペーンを控えること、医療従事者を感染から守るために手術を控えることなど5つの要請を出している。

1) 感染拡大阻止のために不急の需要を喚起するような広告、キャンペーンを控えること。
2) 医療従事者を感染から守るためにウィルスがエアロゾル化し空気中に散布する危険のある手術を控えること。
3) 医療資源がコロナウィルス感染治療に十分投入されるよう、ICU 搬入のリスクのある手術を控えること。
4) 現在治療中の患者にあっては感染拡大予防に細心の注意を払い、オンライン診療を活用するなどして対面での診療を可能な限り控えること。
5) 外来の閉鎖に関しては感染状況の地域差もあるので会員各自の判断に委ねるが、今後政府ないし地方自治体からの要請があった場合にはこれに従うこと。

前出の青木律理事長は「3月20~22日の3連休後に、コロナ感染が拡大しているという医療関係者からの情報を受け、なんとかしなくてはいけないということで、国民と医師に向けて提言を行った」と経緯を話す。

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