フェラーリ社がFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)グループからスピンアウトし、独立企業として株式公開した2015年以降、その数が一気に増えたとはいえ、自動車メーカーとしは破格の少人数体制だ。
マラネッロ・ファクトリーで働くのは約3000名とされ、その中でもF1レーシング部門に1000人ほどを割いているから、純粋に市販車製造に関わる人員はそう多くない。
このコンパクトさを維持することは、 フェラーリのような少量生産メーカーにとっては経営を安定させる最も重要なファクターでもある。いかなる景気変動にも対応できる柔軟性を持っているのだ。
カロッツェリアへの外注から内製へ
かつてのフェラーリは、当地エミリア・ロマーニャに属するマセラティ、ランボルギーニ、デ・トマソなどと同様に、特殊な製造プロセスを取っていた。元来、彼ら(ランボルギーニは除くが)のルーツはレーシングカーで、そのシャーシに顧客の好みにあったスタイルのボディを架装するスタイルで、市販車両ビジネスが始まった。
フェラーリでいえば、マラネッロ(本社)工場で作られたエンジンがシャーシと合体され、トリノのカロッツェリアへと送られた。カロッツェリアとはピニンファリーナ、ベルトーネのようなボディ製造工房である。
このカロッツェリアは、そのシャーシにボディを架装し、内装を仕上げ、再びマラネッロへと送り返した。そして、最終仕上げの後、顧客の元へと届けられたのだった。
そういったいわば“古典的”な製造スタイルが比較的近年まで生き残っていたのだが、フェラーリは1977年に深い関係にあった、近隣モデナのレーシングカーボディ製造工房であるカロッツェリア・スカリエッティをフェラーリのボディ製造部門として取り込んだ。
そして、従来発注していたピニンファリーナやトリノのボディサプライヤーが行っていた作業を逐次、内製化していった。そのおかげで、マラネッロでのオペレーションが、かなり効率的になったのだ。
ホワイトボディ(完成した車体骨格)製作からペイント、そしてエンジン製造、最終アッセンブルまで、すべての製造工程を内製化する体制が確立。さらにカロッツェリアなど、外部デザインスタジオとの連携で行われてきたスタイリング開発も内製化が進み、それに対応するデザインセンター棟も新たに完成している。
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