テレビマンが予言する「5月の番組表」7大異変 収録休止は業界にプラスに働くかもしれない
また、そこまで至らなくても、交代で在宅勤務したり、感染疑いで自宅待機するスタッフが増えれば、現場の疲弊は加速度的に進んでいく。現在はどのニュースもワイドショーもコロナ関係の話題一色だが、今後は「特集の再放送」などが次第に増えていくのではないかという見方もある。
警察などの密着取材や、スズメバチハンター、ゴミ屋敷、鍵のトラブルなどの「いわゆる定番の数字が取れる特集」を再放送することで、視聴率を取りながら、スタッフを休ませる作戦をとる番組が増えていくのではないか。
テレビは「攻めの姿勢」を取り戻せるか
実は現在、テレビの視聴率は好調である。外出できずに自宅にいる人が多いわけだから、考えてみれば当然のことだ。しかも、テレビ業界にとってうれしいことに、テレビ離れが進んでいる若者たちも、学校が休みになり、外出もできないので、最近テレビを見る機会が増えてきているという。
そうした中、テレビ業界の制作者の中から「攻めの姿勢」も見え始めている。まず、普通にロケができないことを逆手に取って、「在宅の出演者たち」を面白く結んで、従来にない新しいスタイルのバラエティを作ろうという「実験的な番組」が一部すでに出始めている。
こうした「在宅の出演者たちをオンラインで結ぶ」スタイルの番組制作は、若者が慣れ親しむYouTubeなどのネット動画の制作手法に、結果的にテレビの制作手法が近づかざるをえなくなっているということができるのではないか。
だからといって、すぐにそれが若者の心をつかむとは限らないが、少なくとも「多くの若者がテレビを見ざるをえなくなっている今」、そうした動きは見方によっては千載一遇のチャンスだと思う。
また、コロナ対策を取るためには、とにかく出演者の数を増やした「ひな壇バラエティ」のような、これまで定番としてきたテレビの制作手法をとることは非常に難しくなった。「せっかく若い人たちが見てくれているのだから、これを機に、新しくて面白いバラエティ番組を作って、もっと若い人たちにテレビを見てもらおう!」という意欲的な試みがこれから先増えてくるのではないか、と筆者は予測している。
あらゆる企画が出尽くしたかにも思える現在のテレビ界で、まったく新しい番組を生み出していくのはそう簡単ではないかもしれない。しかし、コロナによって数多くの「制約」が否応なしに増えてしまった現在、その制約を逆手にとった「企画力勝負」の状態の中で、一層ファイトが湧いてくるのがテレビマンの性(さが)ではないか。だから決して、テレビの先行きは暗くない、と僕は信じている。
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