「10万円」に所得制限を持ち出す人の残念な思考 「特別給付金」は堂々ともらって有効に使おう

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原油価格の大幅下落は、特に採掘のコストが高いアメリカのシェールオイルの生産者を直撃する。20ドルを割るような価格が数カ月続くと、破綻する業者が多数出てくるだろうし、彼らに融資していたり、彼らが発行する社債を保有していたりする金融機関のバランスシートが傷むことは避けられない。同国の社債の発行高の15%程度がエネルギー業者によるものだという。

金融システムの毀損による「2次被害」の懸念

なお、原油価格下落で破綻の可能性があるのは企業だけではない。財政状態の悪い産油国の破綻もあり得る。そして、業績が悪化して、経営破綻に近づいているビジネスは、エネルギー関連だけでない。エアラインから小売業者まで、コロナ倒産があり得る業種は幅広い。「焦げ付き」の発生までには少々時間が掛かるが、それが全般的な不況から発生するものなら、金融機関が今からの経営努力で逃げ切ることはかなり難しい。

今のところ、金融機関は涼しい顔をしているが、「涼しい顔」は信用商売である彼らの職業的表情であって、内心はすでに焦り始めているのかも知れない。

経済問題としてコロナ問題を見た場合、最悪のシナリオの一つは感染症が押さえきれずに流行が長期化して経済活動が停滞し続けることだが、もう一つの可能性として、金融システムの毀損による「2次被害」の可能性を考えておきたい。これが発生すると影響が大きい。

個人にとって、この問題の厄介なところは、金融が「信用商売」であるために、例えば「危ない銀行がある!」といった大事なことを、それが事実であっても、金融庁も日銀も事前には警告してくれないことだ。「一人一行1000万円(+利息等)まで」の預金保険の保護範囲は十分意識しておくほうがいいし、業績が悪かったり、株価が目立って下がったりするような金融機関からは、静かに資金を移しておく方がいいだろう(煽る気は毛頭ないので、あくまで「静かに」やってください)。

次ページとはいっても意外に経済はしぶとい
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