また、俳優やアイドルなどのビジュアルが重要な芸能人には、「人前に出続ける緊張感を持っていないと見た目も変わってしまう」という理由もあるようです。報酬が発生するかどうかではなく、「コンスタントに出ておかないと、『このタイミングで整形をした』と思われてしまう」という驚きの理由も聞きました。
芸能人の中には、トークの機会、見られる機会が激減することの怖さを知っている人が多く、その点スピード感と更新頻度が重要なネットツールは、それらを確保する格好の場所なのでしょう。
これは裏を返せば、「ネット上で発信をしているレギュラー番組の共演者や、キャスティングで競合となる芸能人を見て焦りを感じる」ということでもあります。番組収録が再開されたとき、「自分だけトークスキルが落ちているのはまずい」「キャスティング会議やオーディションで、あの人には負けたくない」という気持ちがネット上での積極的な発信につながっているところもあるのでしょう。
スキルも実績も事務所の力も通用しない
当然ながら、何かと目立つ芸能人がネット発信を活発化させることのリスクは大きく、本人たちもそれは承知しています。実際これまでは売れっ子ほど、「収益化が難しいのにリスクが大きいならやめておこう」という芸能人が多数派でした。
リスクの最たるものはイメージダウン。「自爆」と言われる失言をはじめ、何気なく発したひと言が「常識がない」「上から目線」「不謹慎」などの批判を集め、ファン離れだけでなく仕事が激減するリスクがあります。もともとネット上は発信者と受信者の距離感が近く、双方向でのやり取りも可能であるため、「ここでは芸能人ではなく1人の人間」という姿勢で振る舞うことが好感度アップの常套手段。「テレビ番組でのキャラクターや物言いがそのまま通用するとは限らない」という難しさがあるのです。
また、ネット上での発信は、テレビ番組のように時間をかけて作り込んで質を上げるより、スピーディーに発信してライブ感を醸し出すことが重要。テレビ番組以上に瞬発力やギャップが重視されるなど、「これまで培ってきたスキルや知識が通用するかは未知数で、実績や事務所の力は通用しない」という難しさがあります。
そのため、見た人々から「思っていたよりつまらない人だった」「こういう嫌な感じの人なのだったのか」などとみなされる可能性があり、ほかの芸能活動に悪影響を及ぼしかねません。さらに言えば、多くのテレビ番組に出演している売れっ子芸能人ほど、ネット上では空回りしてマイナスギャップを感じられやすいというリスクがあるようです。
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