だから『アナと雪の女王』は大ヒットした ディズニー・アニメーション幹部が語る快進撃の理由

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――『塔の上のラプンツェル』『シュガー・ラッシュ』など、近年はディズニー・アニメーションの評価が非常に高く、興行的にも成功していますが、その躍進の理由のひとつとして「ピクサー・アニメーション・スタジオ」のジョン・ラセターをクリエーティブ・チーフ・オフィサーに迎え入れたことが大きかったと言われています。彼と一緒にやろうと思った理由を教えてください。

  Andrew Millstein(アンドリュー・ミルスタイン)
米国フィラデルフィア出身。1997年5月にウォルト・ディズニー・スタジオ入社。ザ・シークレット・ラボ(ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ デジタル部門)を経て、エグゼクティブ・バイス・プレジデントに昇進。『ディズニーフェアリーズ』シリーズ、『プリンセスと魔法のキス』『シュガー・ラッシュ』『プレーンズ』『アナと雪の女王』など、大ヒット作を連発している。現ASIFA(国際アニメーションフィルム協会)、VES(視覚効果協会)加盟、コルバーン・スクール(南カリフォルニア大学音楽学部の入学準備校)委員を務めている。

基本的にピクサーを合併した件については、ウォルト・ディズニー・カンパニーCEOボブ・アイガーの考えによるところが大きかった。ただし、クリエーティブな面に関しては、ピクサーとディズニーは、もともと非常に強力的な関係を築いていたからね。そういった土台を生かしたうえで、ジョン・ラセター、エド・キャットマルというすばらしいクリエーターの優れたビジョンを取り込むことができたのがいちばん大きかった。ちょうど彼らをトップに迎え入れたときは、ディズニー自身が、新たな風を必要としていたから、本当に彼らを迎えられてラッキーだったよ。

――ウォルト・ディズニー・カンパニーは、これまでマーベル、ルーカスフィルムなど優良なコンテンツを持つスタジオを傘下に収めてきました。次回作は『ビック・ヒーロー6(原題)』を映画化すると聞きました。これはどのような作品になるのでしょうか?

『ビック・ヒーロー6(原題)』は全米では11月に公開予定のアニメーション作品なんだけど、もともとドン・ホールという監督がマーベルコミックスの大ファンでね。マーベルコミックスの中でもかなりマイナーなコミックが原作なんだけど、それをアニメーションにしたいと言ってきたんだ。確かにあまり知られているコミックではなかったが、そこにあるモチーフがどこかディズニー・アニメーションに通じるようなものがあって、これならいけるんじゃないかと思った。実は日本のアニメーションに影響された部分もかなりあるし、そういう意味でどういう作品になるのか、楽しみにしているよ。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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