安倍内閣はなぜ「一律10万円」を受け入れたのか 自民党コロナ本部長が語る政府内調整の内幕

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――ただ、収入が激減した人にとって10万円程度では焼け石に水ではないでしょうか。第2次補正予算で再び一律10万円、もしくは条件つき30万円給付などが必要になりませんか。

第2次補正予算の話はまだできないが、永田町には2次補正予算で「減収世帯に30万円」を主張する人がいる。しかし、そうするとやっぱり「不公平」という声が出てくるのではないか。

それに1回目は「一律」で、2回目は「減収世帯だけ」とすれば、混乱を招きかねない。感染者の状況、国民生活の状況、企業の状況をみながら臨機応変に次の手を打っていくつもりだ。

欧米は損失を補填しているわけではない

――事業者への休業補償について、政府はこれまで休業の「埋め合わせ」はしないとしてきましたが、西村康稔経済再生相は4月19日、国が自治体に配る1兆円の臨時交付金については、休業した事業者に「休業支援」として支給できるようルールを変えると明言しました。しかし、政府は依然として休業に伴う損失の補填、いわゆる「休業補償」については否定的です。

田村憲久(たむら のりひさ)/自民党政務調査会会長代理。1月27日に設置された自民党新型コロナウイルス関連肺炎対策本部で本部長に就任。1964年生まれ。1996年の衆議院議員選挙で初当選、現在当選8回。第2次安倍内閣で厚生労働大臣を務める(記者撮影)

マスコミは休業に伴う損失を政府が補填するいわゆる「休業補償」に踏み込むべきだと、欧米諸国と比較しながら論じている。はっきりしておきたいが、欧米諸国は「損失の補填」をしているわけではない。労働者の解雇を防ぐため、事業者が労働者に(休業中に)払う給料について国が一定金額の「支援」をするのが基本だ。

同じように日本も、事業者に労働者の雇用を守ってもらうため、労働者に払う休業手当に必要なお金の一部(最大9割)を「雇用調整助成金」という形でまかなってきた。この4~6月は助成金の規模を拡充し、パートやアルバイトにも対象を拡げた。状況によっては助成金を得るための条件をもっと柔軟にしていくことも考えている。遅いと批判される手続きのスピードについても迅速化に努めていきたい。

さらに、事業者向けの「持続化給付金」は、前年同月比で50%以上売上げが減った事業者に対し、個人事業主(フリーランス)であれば限度額100万円、法人なら同200万円を払う。

その上で西村経済再生相は19日、臨時交付金を休業した事業者への「休業支援」にも使えるよう方針転換した。日本の雇用対策、経済対策の中身が欧米に比べて遜色あるとは思わない。

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