この取り組みは、オールジャパンで進められており、そこにプロジェクトインテグレーターとして丸紅が加わっていることにも意味がある。実証研究の段階からこういったポジションを設定しているのは、ここでの成果を国外にもしっかり売っていこうという意志の表われだ。
日本を代表する大企業連合によるベンチャーのような取り組みがうまくいくかどうかを今、案じては鬼に笑われる。世界初の試みである。うまくいくかどうかは、やってみないとわからないのだから、とことん、やってもらいたい。浮体式洋上ウィンドファームというシステムも、また、ここで試されたライザー電力ケーブルなどの個別の技術も、どこかで花開くことを期待したい。
2015年は、洋上元年?
2015年内には、7メガワットの発電が可能な風車2基もこの風景に加わることになる。今度は、さらに大きい。1枚のブレードの長さは2倍以上の82メートルもあるのだ。やり投げのディーン元気選手の自己ベストは84メートル28であり、それには少し届かないが、想像を絶する大きさのブレードと言っていいだろう。当然、浮体式の風車としては世界最大である。2015年は、洋上風力元年となるのではないか、とも思う。ひとまず、7メガワットの風車が曳航されるその瞬間は見てみたい。
帰りのスーパーひたちを待つ間、駅前の「キッチンはらぺこ」という食べる人にも飲む人にもぴったりの、蓮根のはさみ揚げが旨い食事処で、あれこれと話をした。朝には開いていなかった店が一軒だけ営業を始めていたのである。ちなみに、船上では顔面蒼白、生死の境を彷徨っているようにみえた同行者たちもいつの間に元気になって、ビールなど飲んでいる。なんとなく安心したのは言うまでもない。
(構成:片瀬京子、撮影:尾形文繁)
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