格安のガソリンスタンドが消えていく事情 ジョイフル本田が給油事業を出光興産に譲渡

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ただし、元売りが系列スタンドに正規の価格で卸す系列玉と違って、余剰分に当たる業転玉は安く燃料商社に販売されてきた。そうした業転玉を正規の系列玉より割安な価格で仕入れて販売してきたのが、ジョイフル本田のような独自のブランド看板を掲げた、いわゆるプライベートブランドのスタンドである。

ではなぜ、ガソリンスタンド業界で”勝ち組”だったはずのジョイフル本田は、すべての店舗を手放すのか。会社側はガソリン需要の先細りが主因と説明するが、かつてのように安い業転玉の大量仕入れが難しくなったこともある。背景にあるのが石油元売りの大きな変化だ。

近年、石油元売り業界では大きな再編があった。エネオス系列網を有する最大手のJXホールディングスと東燃ゼネラル石油が2017年に経営統合し、JXTGホールディングスが誕生。2019年4月には、出光が昭和シェル石油と経営統合した。これによって、石油業界はシェア5割を握るJXTG、同3割の出光、そしてコスモエネルギーホールディングスを加えた3社による寡占時代を迎えた。

薄利の商習慣を改めた

再編を進める一方で、石油元売りは自前の製油所の能力削減を実施。乗用車の燃費改善やHV・EVの普及などでガソリン需要が細る中、余剰な精製設備を抱えていては稼動率が下がり続け、供給過剰で価格も叩き合いになるからだ。実際、能力削減を進めた結果、直近の国内全製油所合計の原油処理能力は、2010年当時と比べて24%も減っている。

再編による寡占化で価格支配力を強め、かつ段階的な精製能力削減で需給ギャップを解消し、需要縮小下でも安定的な収益を確保するーー。こうした生き残り戦略を選んだ元売り各社は、業転玉についても販売のあり方を見直し、その供給量自体を絞ると同時に従来のような薄利の販売慣習を改めた。安値で放出された業転玉はガソリン市況を崩す一因となり、結局は元売りの首を閉める形になっていたからだ。

こうした元売り各社の方針転換によって、かつてのように大量の安い業転玉が市中に流れることはなくなった。特に大きなインパクトがあったのが、3年前のJXホールディングスと東燃ゼネラルの経営統合だ。

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