新型コロナでもひるまない中国5Gの「巨額投資」 先陣切るアリババ、ファーウェイ、テンセント

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政府の方針発表と有力な民営企業トップの意見表明という異例の組み合わせは、金融緩和や大規模な財政出動によって5G投資をバックアップする姿勢を強調したものと考えられる。

上空から市民たちに外出しないよう呼びかけるドローンをはじめ、病院や隔離用ホテルで医療物資と食事を運ぶロボット、マスクを着用した通行者に対して検温と顔認証による身元の特定を同時に行うAIサービスーー。

新型コロナとの闘いに駆使される、これらのデジタル技術を支えるのが5Gだ。

中国の5G関連投資は年4.5兆円に

政府系シンクタンク・情報通信研究院の公開レポートによると、2025年までに中国の5G市場は世界最大規模に成長し、ユーザーは8億人になるという。

すでに中国では昨年末時点で約13万の5G基地局が建設されているが、2020年の5G関連投資額は約3000億元(約4.5兆円)に上る見通しだ。この先、急ピッチで基地局の整備が進められる。

5Gの本格的な商用化も進展する。5Gの特徴は「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」だ。消費分野では、ゲームや動画視聴などで新たなユーザー体験がもたらされる。産業分野でもIoTの進展をはじめスマートシティーの実現など、さまざまな期待が寄せられている。

これまでも5Gのビジネスチャンスに関する議論は盛んに行われてきたが、コロナ対策としての遠隔医療やオンライン教育など、ここにきて5Gの社会実装が大きくクローズアップされ、実際に多くの有力プレイヤーが動き出している。

中国移動(チャイナモバイル)をはじめ大手の通信事業者3社は、新サービスの「5G消息(5Gメッセージ)」を打ち出す。従来のショートメッセージ(SMS)をアップグレード。文字以外に音声や動画、位置情報などを迅速に送信することや、さまざまな外部サービスにつなげることを目論む。

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