新型コロナでもひるまない中国5Gの「巨額投資」 先陣切るアリババ、ファーウェイ、テンセント

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2019年11月に北京で開催された「世界5G大会」(筆者撮影)

新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受けて、中国政府は1月下旬から隔離や移動制限、経済活動の停止など厳格な封じ込め政策を実施し、早期の沈静化を図った。

その代償として1~3月の主要経済指標は大幅に悪化。四半期GDPは、1992年以降で初のマイナス成長となった。国家統計局の担当者は「4月以降に改善する」という見通しを示しているが、はたしてV字回復は可能だろうか。

世界に目を向けると感染は拡大し続けており、コロナショックは世界経済を大きく揺さぶっている。アメリカやヨーロッパなどで経済活動の停滞が長期化すれば、外需の落ち込みから中国経済がさらに大きな打撃を受けることになる。

アリババCEOも「5G投資」を提唱 

全国人民代表大会(全人代)の開催を見送った中国は、2月中旬と3月上旬および下旬に共産党中央政治局会議を開催。経済活動の本格回復に向けて政策を練り直してきた。3月末時点では主に金融緩和、財政出動、消費喚起、インフラ投資の4つの側面から経済対策を打ち出している。

とりわけ注目を集めているのが、5Gをはじめとする「新基建(ニューインフラ)」への投資拡大だ。

コロナ禍を契機に、日々の暮らしから社会経済全体に至るまでデジタルシフトがいっそう加速すると考えられるが、政府は景気対策の一環として、この動きを強力に後押ししようとしている。

3月20日、中国共産党の機関紙である『人民日報』に「ニューインフラ建設によるイノベーション発展余地の開拓」と題する文章が掲載された。筆者は中国のEC最大手・アリババグループの張勇CEOだ。5Gなどニューインフラ投資は経済発展の新たなエンジンとして、雇用の創出や企業競争力の向上、デジタル社会の実現などにつながると唱えた。

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