筆者も実際に使ってみた。鶏肉、豚肉、牛肉と、スーパーの安い肉を用意して、一通り焼いてみたが、いつもよりふっくらして味わいが深まると感じた。安い食材の味が格上げされるので、節約にもつながりそうだ。
肉以外でも力を発揮した。例えば目玉焼き。うまみが増し、マンネリ化した朝食が生まれ変わる気さえした。当初憂鬱だった「使用後はしっかり乾かして油を塗る」作業も、わりとすぐに慣れることができた。
使用歴1年のyuus_12さんは、煮る・揚げるなども同商品でこなしており、「家族が美味しいと言ってくれる回数が格段に増えた」と喜ぶ。
とくにギョーザやパエリア、チキン南蛮、お好み焼き、揚げ物などが家族に好評だ。自身のオススメは天ぷらで、とくにパリパリに揚がった大葉は絶品だという。「娘が家を出る際はぜひ持たせてあげたい道具です」(yuus_12さん)。
料理家の廣瀬ちえさんも、愛用する1人。「ほかのスキレットに比べ、取っ手が熱くなりにくく、焦げにくい。今はこればかり使っている」と話す。
「野菜がとても甘くなります。フレンチトーストも焦げつかずキレイな焼き色がつく。そのままテーブルに出せるパエリアやアヒージョなどもいいですね」(廣瀬さん)
現在、同商品はミシュラン掲載のイタリアンや日本料理店でも使われているという。
なぜフライパンに参入?
先述したように、同社は創業80年を超える老舗だが、4代目の石川社長は2004年に社長に就任したときから「メイン事業の自動車部品に代わる自社製品の開発」を考えていたという。ハイブリッド車や電気自動車の普及により受注数が落ちるのは目に見えていたからだ。
2008年のリーマンショックでその思いは明確なものとなり、「自社の強みである鋳物を生かして景気に左右されないものを作ろう」とフライパン開発を発想した。
しかし、市場にはすでに人気の鋳鉄フライパンが存在していたため、一度は諦めたという。そんな矢先、鋳物技術を生かし調理器具メーカーに転身した、ある社長の言葉に後押しされた。「うちも後発だけど、ほかとはまったく性能が違うよ」。独自加工技術があるからこその彼の自信に触れ、石川社長は「やはり強みを生かし挑戦しよう」と思い直したという。
こうした経緯でオリジナリティーを追求し生み出した同商品は、売上高の2割を超えるようになった。今後は5割まで引き上げたい考えだ。販路は引き続き自社サイトがメイン。基本的に店頭販売は肉屋や飲食店を中心に展開する。
また、刃物や帆布などこだわりを持った国内の生産者と組み、ダブルネームのキッチングッズを展開するプロジェクトも準備しているという。
自粛生活の中、ホットプレートやたこ焼き器など家族で楽しめる調理器が売れているという。今後自粛が長引けば、同商品のように美味しさにこだわって作られた調理道具の人気も高まっていくかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら