新型コロナウイルスの流行で、自粛生活が続く日々。せめて食事は楽しみたいと調理道具に目を向ける人も増えているようだが、「おもいのフライパン」という、国産のフライパンが少し前から売り上げを伸ばしているのはご存じだろうか。2017年12月の発売以降、口コミで人気が広まり、一時は3年待ちになるほど注文が殺到したという。
1月には新サイズの先行予約をクラウドファンディング「マクアケ」で行ったところ、開始から5分で目標金額を達成。最終調達額は2カ月で2000万円を超え(サポーター1000人以上)、フライパン部門史上最高額を記録したという。販売数はシリーズ累計2万枚を突破した。
同商品は、鋳型に鉄を流し込んで作る鋳鉄フライパン。少し前に「スキレット」という呼び名で流行したタイプのものだ。鋳鉄製は鉄板をプレスして成形したものと比べ炭素量が多いため、蓄熱性や遠赤外線効果に優れ、料理が美味しくなると言われており、今やニトリや100均でも手軽に購入できる。
同商品の価格は20cmタイプが1万円(税抜)、26cmタイプが1万6000円(税抜)と決して安くはない。しかも同程度の価格帯ではすでに人気の競合商品もある中、なぜ注目を浴びているのだろうか。
肉のうまみが変わる?
まず目をを引くのは、大胆なコンセプト。「世界で1番お肉が美味しく焼ける」と言い切っている。
実際「肉が美味しく焼ける」との口コミは多い。同商品を1年間毎日愛用し、作った料理をインスタグラムにアップしているyuus__12さん(44歳)は興奮ぎみにこう語る。
「肉のうまみが明らかに変わります。日頃よく食べている鶏モモ肉をこれで焼いたら、2人の子どもが『いつもと違う肉?』と聞いてきた。この瞬間、虜になりましたね。ハンバーグもふわっと仕上がり肉汁たっぷり」
製造するのは、鋳物の産地である愛知県碧南市の鋳物メーカー「石川鋳造」。創業80年の老舗で、詳しくは後述するが、これまで自動車部品の製造をメインとしてきた会社だ。
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