京都は「気楽に入れる店がない」残念な外食事情 昔ながらの「ぼったくり商法」もう見直す時期

拡大
縮小
京都に住んでわかった残念な外食事情とは?(写真:filadendron/iStock)
京都造形芸術大学から教授の誘いが来たことがきっかけで、中心部である中京区に暮らすことになった元『小説新潮』編集長の校條剛氏。彼が物足りなさを感じた「京都の外食事情」とは? 新書『にわか<京都人>宣言』から一部抜粋・再構成してお届けする。

ここでお話しする「外食」というのは、特別のご馳走ではなく、自宅以外で食べる普段の食事の意味である。さらに詳しく規定すると、酒を飲むための食事ではなく、たとえば子供連れの家族がする食事の意味である。

私のような糖尿病持ちの人間が、自宅以外で食事する、つまり外食することは、どの地域でも簡単ではない。京都のみならず、東京でも事情はさほど変わらない。それでもやはり、東京のほうが京都よりも選びようがあるというのが、私の印象であった。

大学勤務の初年度は、東京からの通いだった。京都にいるときは、当然ホテル暮らしであり、自分の家で家庭料理を味わっているわけではなく、私が食べているものは、ほとんど誰か他人が作った料理、つまり外食あるいはスーパーやコンビニで購入する中食なのだった。

京都は「普段食べに適していない町」

最初に断定すると、京都、特に中心部は、普段食べには適していない町だ。繁華な通りにある店のほとんどは観光客に顔を向けている。試しに四条河原町から木屋町筋や先斗町筋、または新京極や寺町通をぶらついてみるといい。定食屋や気軽な中華屋が目につくことはまずないだろう。観光客がただ目的もなく歩き回っても、そういった気楽な店に遭遇するのは難しい。

京都に外食チェーンが進出していないわけではない。「なか卯」というどんぶり専門のチェーンは、中心地を外れると結構目につく。どんぶりチェーンでは、ほかに「すき家」も多い。学生街や中心部からちょっと離れた地域で見かけることが多い。同じ牛丼でも、「吉野家」は京大のある百万遍でしか見たことがない。調べてみたが、やはり基本的に、周縁部にしか出店していない。

次ページ京都には「日高屋」がない
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT