株価はコロナ死者数が減れば上がり続けるのか 市場は経済正常化への道を判断できていない

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政府による2兆ドル規模の財政政策プランは多岐にわたるが、目玉は、家計や企業に対して政府が大規模な給付金を交付、所得や経済活動の落ち込みを支えるプランである。家計への所得支援は約9000億ドル(GDP比4%相当)規模だが、中小企業が雇用を維持するために必要な資金を、銀行融資などを通じ3500億ドル規模で支給される仕組みが含まれている。これは、雇用維持のための財政政策であり、すでに申し込みが殺到しているが、FRBが銀行への資金供給を通じてこの政策スキームを支えている。

さらに、政府部門による医療、災害関連などの歳出拡大は5400億ドル(GDP比2.6%相当)に達している。政府の大規模な民間の救済策に関して、資金供給の機能を持つ中央銀行として、FRBは能動的かつ幅広くかかわっている。ウイルス被害という大災害によって経済活動が広範囲な停止を余儀なくされる非常事態に、政府と中央銀行が一体となった迅速な対応が行われており、筆者は、一連の政策が日欧諸国と比べ、スピード、規模いずれも最も優れていると評価している。

市場は「アメリカ経済正常化の過程」を判断できていない

だがその一方で、筆者は新型コロナウイルスという大災害の被害で、アメリカの経済活動はGDP10%規模のインパクトで急速に収縮しているとみている。上記の広範囲な政策対応によって、経済封鎖によるショックを十分にカバーできるとは楽観できない。迅速に対応しても、お金が行き渡るには一定程度の時間がかかるという「政策のタイムラグの問題」を完全に解消することはできないためある。

また、最近のアメリカ株式市場は、新型コロナウイルスの感染者や死者の伸び率が鈍っていることが好材料となっている。大規模な都市封鎖によって、感染拡大に歯止めがかかるという意味では望ましい。ただ、それは経済封鎖政策の帰結として、想定された動きに過ぎないだろう。一方で、感染拡大に歯止めがかかった後に、どのようなプロセスでアメリカ経済が正常化の道筋をたどり、どの程度時間がかかるのかに関して、株式市場は冷静に判断できていないようにみえる。

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