原油価格は再び「大暴落」してしまうのか? 鍵を握るのは「サウジ」でも「ロシア」でもない
ここ1カ月以上激しい値動きが続いている原油市場が、また新たな局面を迎えることになりそうだ。原油相場の指標となっている4月2日のWTI原油価格の値動きは激しかった。すなわち、NY時間の朝方発表された新規失業保険申請件数が600万件を大きく超える内容となり、雇用の落ち込みや景気減速に対する懸念が改めて強まる中で、原油先物価格は1バレル=21ドルを割り込むまで値を下げていた。
だが、その後ドナルド・トランプ米大統領が「サウジアラビアとロシアが近く大幅な減産で合意するのでは」との見通しを示したことを受けて買いが殺到、27ドル台まで30%近くも値を伸ばす展開となった。
アメリカがサウジとロシア両国に減産を呼びかけていたのはそれまでにも伝えられていたから、減産で合意するとの見通しということ自体はそれほどのサプライズではなかったのかもしれない。だが、トランプ大統領は減産規模について「1000万バレルから場合によっては1500万バレルに上る」との見方を示したことが、上昇に拍車を掛けた可能性が高い。
価格反転の可能性はないのか?
この発言に関してはまだ確認が取れた話ではなく、大統領お得意の見切り発車の可能性が高く、ホワイトハウスのスタッフをまたまた慌てさせたようだ。それでも、その後サウジが週明けの6日に「OPEC(石油輸出国機構)プラス」の緊急総会を開催する意向(その後暫定的に9日開催に延期)を示したほか、ロシアのウラジミール・プーチン大統領も「大幅な減産は可能」との見方を示したこともあって、3日には改めて買いが加速。一時は28ドル台後半まで値を伸ばす展開となった。
新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な景気の減速、都市のロックダウンによる生産活動の停止や人々の移動がなくなったことによる航空機需要の激減などで、今後もエネルギー需要の落ち込みは相当なものになると予想されている。これが長期的に相場の大きな重石となるのは避けられないだろう。
それでも、商品の価格は需要と供給のバランスで決まるものだ。需要が大幅に減少しても 、それ以上に生産の削減が進むのではあれば需給は引き締まり、価格が上昇に転じる可能性は十分に高い。
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