トランプ大統領の「期待」を裏切る原油相場

異例かつ大規模な協調減産でも価格は動かず

サウジによる減産の呼びかけを拒否していたロシアも含めた協調減産が合意。トランプ大統領がロシアに翻意を促したともいわれる(写真:AFP=時事)

ひとまず産油国が同じ方向に歩み始めた。4月12日、サウジアラビアを中心とするOPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの産油国は、日量970万バレルの協調減産を進めることで合意した。

協調減産の規模は世界の原油生産量(2018年)の約1割。2020年1~3月の減産が日量170万バレルだったのと比べれば、まさに異例の規模だ。OPECプラスの合意を受け、アメリカのトランプ大統領はツイッターで「米国内の多くのエネルギー関係者の雇用が守られる」とし、協調減産に参加するロシアのプーチン大統領やサウジのサルマン国王に謝意を表した。

ロシアの「拒否」でサウジが怒りの行動

2017年から続いていた協調減産が終わったのは2020年3月末。年明け以降、新型コロナウイルスの感染拡大や世界景気の減速懸念などから、原油価格は右肩下がりだった。そこで2020年3月のOPECプラス会合でサウジが減産幅拡大を主張したが、ロシアはこれを拒否し、協調減産が崩れた。業を煮やしたサウジは大幅な増産を表明。意図的な価格の下落でロシアを困らせ、減産の枠組みに引き戻す狙いだった。

中東最大の産油国であるサウジの増産表明で、原油相場は一段と下落した。予想以上にシリアスな展開を受け、OPECプラスは緊急会合を実施。有力産油国同士の競り合いから一転、協調減産が復活することになった。

トランプ氏が今回謝意を表したのは、アメリカがシェールオイルで世界最大の産油国となっているからだ。原油価格が1バレル20ドル台という価格のままだとアメリカ国内のシェール企業が採算割れを起こす。現に4月1日にはシェール企業のホワイティング・ペトロリアムが経営破綻した。価格の低迷が長期化すれば、シェール企業が続々と破綻するおそれがある。

これは2020年秋に大統領選挙を迎えるトランプ氏にとって重大な問題だ。共和党の支持基盤の一つがエネルギー業界だからだ。そのため、トランプ氏は再三、サウジやロシアに対して協調減産に復帰するよう強く働きかけてきた。

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