「メールが丁寧すぎる人」ほど仕事ができない訳 ビジネスの能率を著しく落とす「卑屈語」の罠

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当たり前の話のようで、ビジネスの現場では、意外と通用しない。たとえば「顧客を満足させること」が、「顧客企業の担当者を満足させること」とイコールではないことは多い。短期的な満足と中長期的な満足が異なることも多い。さまざまなしがらみや事情もある。

結果、多くのビジネス・パーソンが「顧客を満足させること」ではなく、「誰かに嫌われないこと」を目的にしてしまっている。クライアントや上司の機嫌を損ねたくない。部下からバカにされたくない。四六時中そんなことを思っていてストレスを貯めている人も多いだろう。

相手にとって嫌な指示をしなくてはいけない。でも、嫌われたくはない。だから「やってください」ではなく「ご相談させていただけないでしょうか」と書く。

判断しなくてはいけないけど、責任は取りたくない。だから「A案でお願いします」ではなく「A案のご採用をご検討いただけないでしょうか」と書く。こんなふうに、人は「卑屈語」に逃げるのだ。

雑感だが「させていただきます」の連発は、芸能人からの影響が大きいように思う。「主演させていただきます」「私事ではありますが婚約させていただきました」というアレだ。

背後にあるのは「自慢したい。でも、嫌われたくない」という心理だろう。これがビジネスのメールやフェイスブックのドヤりにも波及し現在に至った、というのが僕の見立てだ。

なぜ「卑屈語」を使ってはいけないのか

「卑屈語」を使ってはいけない理由は単純で、ビジネスの生産性を著しく下げるからだ。

まず書くのに時間がかかる。あれこれ逡巡しながら「考え方はOKなのですが、別の方向性の可能性もご検討いただければ幸いと存じますがいかがでしょうか?」と書いていれば15分はかかるだろう。そんなヒマがあれば「すみません!修正してください」と1秒で書いたほうが効率的だ。

読むのだって一苦労だ。「今の案も通る余地があるの?それともやり直し?」と、これまでの文脈や相手との関係性を考慮しながら半日悩むほどムダな時間の過ごし方はない。

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