「メールが丁寧すぎる人」ほど仕事ができない訳 ビジネスの能率を著しく落とす「卑屈語」の罠

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そもそも真意が伝わらない。「全部やり直し」と伝えたいのに、読み手は「微修正」と判断しかねないのだ。

確かに卑屈語を使えば、嫌われることは減るのかもしれない。しかし、代償としてナメられてしまう。そして、次から次へと無理難題を要求され、値切られるようになるだろう。

あなたがもしビジネス・パーソンとして稼ぎたいと思っているのであれば、決して「卑屈語」を使ってはいけない。使うごとに1円年収が下がる、くらいの気持ちでいたほうがいい。

といっても具体的にどうすればいいのか? 解説しよう。

「卑屈語」を使わないコツ

まず「させていただく」を使わないようにしよう。どうしても使いたくなったら、「いたします」と言いかえればいい。

<ケース1>
「確認させていただきます」→「確認いたします」
<ケース2>
「受賞させていただきました」→「受賞いたしました」

これだけで文章の卑屈度はグッと下がることがおわかりいただけると思う。

単語の頭に「お」や「ご」をやたら付けないことも大切だ。「おまとめ」「お戻し」「お打ち合わせ」など……。昔の貴族じゃないんだから、「まとめ」「戻し」「打ち合わせ」と普通に言えばいい。

僕も自分の文章を読み直してみたところ、「メールをお送りします」という表現を多用していたことに気がついた。今は「送ります」と書くようにしている。

卑屈語の隆盛には、ソーシャルメディアの普及とも因果関係があるように思う。人類の歴史上初めて、誰もが全世界に発信できるようになった時代だ。「嫌われたくない」と慎重になるのも無理はない。

しかし、これはテレワーク時代には合わない考え方だ。ビデオ会議やチャットツールでは、相手の表情や場の空気、行間のニュアンスなどはあまり重要視されない。短時間で端的なコミュニケーションが重要になってくる。いちいち「させていただけないでしょうか」と送信されたら、たまったものではない。

もしこの記事に共感いただけたら、まず「させていただく」の使用をひかえることからはじめてほしい。相手に嫌われてもビジネスの目的を達成できればOKと、ハラをくくってほしい。卑屈な言葉を使っていると、卑屈な人になり、卑屈な人生を送ることになるのだから。

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