スタバが「過半数休業」コロナ対策に見えた本質 「来店客と従業員の安心」社会的責任の重さ

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すでにほかのメディアで報じられているが、個人経営の飲食店(個人店)は、外出自粛のなか、「営業継続」も「休業」も死活問題だ。過去に取材した個人カフェの悲痛な声も紹介しよう。

「今日から休業することを決めました。『儲かっているから大丈夫』と思っている方がいれば、それはまったくの誤解です。これまで多くの方に来店いただきましたが、3月末に出された自粛要請以降、売り上げは8割減です。でも、もしも従業員やお客様、業者さんなど、当店に関わってくれる誰かに、万が一のことが起きたら、私は一生後悔するでしょう。そう考えて休業を選択することにしたのです」(A店)

テイクアウトだけでは成り立たない

「営業すれば、働くスタッフの人件費はもちろん、ローン、リース、家賃、光熱費もかかります。休業しても必要経費はかかります。店内飲食で商売をしてきた店は、テイクアウトだけでは従業員も雇えないし、食べていけません」(B店)

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人気カフェの中には、通販で売るコーヒー豆が、もう1つの主力という店もあるが、そうした店は、ごくわずかだ。

今回の一連の対策における国や東京都の、後ろ向きで場当たり的な対応に、不満を持つ声は圧倒的に多い。

金銭補償のない「要請」や、支給までハードルの高い「条件付き給付」では、たとえ2021年に延期された東京五輪が開催されても、それまでに日本文化の1つである、多くのカフェや多種多彩な個人飲食店は消えてしまう。「当面のしのぎ」につながる、より踏み込んだ金銭支給の素早い実施が求められる。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

 

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